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「リバース(著:湊かなえ)」という作品について熱く語らせてください。

「リバース」は2015年に単行本が発刊、2017年にドラマ化された作品です。私が湊かなえさんの小説の中で1番好きな作品であり、これまでに視聴したドラマの中で1番好きな作品でもあります。
「リバース」以降も色々なドラマを視聴しました。それぞれに良さはありましたが、やっぱり私はこの作品が好きだという思いが深まったため、この記事を書くに至りました。

ぜひ皆さまに「リバース」を見てもらいたいという気持ちはあります。しかしながら、本記事は作品の見どころをPRのように紹介するというよりは、私の偏った感性や視点、趣向に基づいて作品の良さを語る内容となっています。気楽にだらだらとお読みください!
※文字列が続くので、目の保養を兼ねて各地のカフェ画像を挟みます。

博多「GOLD FLOG COFFEE」

面白さ①:綺麗な伏線回収
特に小説では最後の1文が衝撃的で、読んだ直後に思わず声が出るほどの伏線回収劇でした。話の展開に強引さや不明瞭さがないからこそ、その衝撃は圧倒的でした。この伏線回収を味わうだけでも読む価値があると思っています。ドラマ版では小説では結末となる部分に続いて、オリジナルの追加ストーリーが用意されています。

面白さ②:群像劇
湊かなえさんの作品ではよく用いられる「群像劇」表現がこの作品を一層面白くしていると感じます。主人公1人の視点ではなく、登場人物それぞれの視点から「見た事実」が語られることで、客観的な事実と必ずしも一致しない部分が出てきます。加えて、それぞれが断片的な情報しか持っておらず、なかなか全貌が明らかになりませんが、終盤にはそれぞれのピースがハマり、バラバラだった話が繋がってきます。このパズルが揃ってくるような感覚がやみつきになります。

岐阜「SHERPA COFFEE ROASTERS」

面白さ③:主題歌と演出
ここからはドラマ版の要素が中心になりますが、主題歌である「Destiny(シェネル)」が物語と抜群にマッチしています。歌詞が作品を表す内容になっており、メロディも作品の機微に合ったドラマティックな曲調に仕立てられています。このハマり感が一層作品の雰囲気を盛り上げています。
また、ストーリーの特性上、過去と現在を行き来する展開になりますが、その表現として時計の針と映像が逆回転・逆再生される演出が採用されています。ベタな表現かもしれませんが、やっぱりワクワクします。

面白さ④:演者の熱演・怪演
主役の藤原竜也さんを中心とした演者の熱演が物語を盛り上げます。「人の死」が関係する作品であることから鬼気迫るような迫力のある演技はもちろん、学生時代と現在を行き来する中で、その歳ならではの雰囲気やノリを上手く再現しています。少しニッチな視点ですが、主人公たちが友人の両親に謝罪する場面では、泣きながら謝る悲しいシーンかと思いきや「ここでチョイスするワード?」と思うようなセリフがあり、画面越しに伝わるシリアスな雰囲気と滑稽なワードとのギャップに思わず笑ってしまうようなシーンがあります。

淡路島「TAKAMURA COFFEE ROASTERS」

面白さ⑤:随所で登場するコーヒー
主人公の特技がコーヒーを淹れることだったり、行きつけのカフェで偶然の出会いがあったり、カフェのマスターから色々なアドバイスをされたりと、全編を通して物語に少しずつ絡んできます。特にカフェのシーンではYOUさんが演じるマスターの妻がいい味を出していて、こんな行きつけのカフェが欲しいと思わされます。単行本の表紙にもコーヒーカップの写真が使用されており、ドラマの各話冒頭シーンにもコーヒー豆が落ちる演出が採用されていたりと、コーヒーが作品のキーアイテムとして上手く生かされているところも私の好きなポイントです。
※作中に登場するカフェは淡路島の「Tower Coffee」というお店をモデルにしているそうです。

面白さ⑥:印象に残るセリフ
作中には印象に残るセリフがちょくちょく登場します。かなり主観的なセレクトになりますが、その中からネタバレにならないようなセリフをいくつかを紹介します。ワードだけを聞いても意味がわからないと思いますが、紹介だけさせてください。(あわよくば実際に視聴して確認してください。)

・「俺、行くわ」広沢由樹(演:小池徹平)
・「肉肉野菜、肉肉野菜のリズムでお願いしますよ」谷原康生(演:市原隼人)
・「うまいね、うまいねって食べてました」深瀬和久(演:藤原竜也)

最も有名で衝撃的なセリフは小説の最後を締めるあのワードだと思います。検索すれば出てきてしまうと思いますが、ネタバレ防止のためにここでは記載しません。
その他、広沢の「深瀬は戦ってるよ。戦っているうちは、負けることはないんじゃない?」という言葉のような、心に響く名セリフも随所に登場します。

名古屋「アビー・ロード」

以上、「リバース」という作品について紹介させていただきました。何回見ても面白いですし、万人にお勧めできる作品だと思っています。
「伏線回収・ミステリ・群像劇・シュール・コーヒー・藤原竜也・シェネル」というワードの中で1つでも興味があるものがあれば、是非ご覧になってみてください。

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