IGES 「ネット・ゼロという世界 -2050年 日本(試案)-」発表 定量的データで描き出す脱炭素社会の姿を読んで

公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)が表記の資料を、読んでみたので各一人の意見として今の思いを留めておくことにした。

概要

詳しい内容をここでは説明しないが、ある程度普段から読書をして文章を読んでいる人であれば、環境問題に詳しくなくても論文的なものではないので時間のある時に読むことを推奨したい。

私自身は、20代後半の男性であり普段は、この分野に間接的に関わる会社員として働いている。

なので、私の仕事にも関係しているし、自分自身が2050年には60代後半でまだおそらく働いている年齢だと思われるため、自分ごととして想像しながら読み進めることができた。

2050年、世界はどのようになっているのだろうか。それをまずはIGESの既往の研究から様々な私たちの生活を含めて推測している。

特に、我々の価値観という側面や、暮らし方の側面からも分析をしていて想像しやすいかと思う。是非2つのシナリオを読んでどちらの未来が良いかを想像して欲しい。(下図;公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)より引用)

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「ロックインシナリオ」と「トランジションシナリオ」

また、「ロックインシナリオ」と「トランジションシナリオ」という2つの想定をしており、私なりに簡単に置き換えると、前者は「今の暮らしとそこまで変わらない」、後者は「技術的進展により、今の暮らし方が大きく変わる」という未来予想をしている。

結論としては、ここでコピペするのは良くないので、是非読んでいただきたいのだが、「ロックインシナリオ」だと、人間が(日本人が)日本において暮らしていくには天災を含め様々なリスクがたくさん出てきてしまうという。

「トランジションシナリオ」だと、コロナの影響で生み出された新たな言葉を使うとすると、ネット・ゼロ達成の兆し・プロセスを踏むことで「ニューノーマル」の生活を手に入れることができる。

個人的見解

ここから先は、私が読み終わった後に思ったことに関する内容である。

この2つのシナリオをみて、ほとんどの人が「トランジションシナリオ」の未来を好むし、そうなりたいと思っていると信じたい。

ただし、それを実現するために今生きている日本人全員が全員、この未来を望んで何か行動をしているかというとしていないだろう。

気候変動問題はコロナとは違い、影響が実際に目に見えるまでのリードタイムが長いので影響評価がしづらい。そのため、今を生きているのだから、今のことしか考えなくていいだろ。という「現実至上主義」の人たちがいるのも理解している。実際私と同年代の友達でも、そういった考えの人はたくさんいる。

若い世代全員が全員、サステナビリティーや気候変動問題に対して熱心な気持ちを持っているわけではない。

言い方は悪いが、そのような対極的な問題を考えるて、自分の意見をモテるまでの教養を持っていない人を含めたら、どちらかというと「関心がない」「特に自分の意見を持っていない」という人の方が大半だろう。

そういった人たちを批判する気持ちはも全くないが、そういった人たち世の中にはたくさんいることを前提として、この2050年に向けた取り組みを企業・個人は活動していくべきなのだと考える。

企業活動としては、技術革新・消費者意識の高まり・投資家を含むステークホルダーからの意見を踏まえて、商品・サービスは気候変動を半強制的に意識したものが加速していくであろう。

ライフラインに関しても、再生可能エネルギーの割合が増えていって、使う側の消費者も再エネ賦課金の料金が少しずつ高くなっていくのを、気づかないで払い続けるだろう。

このように、「現実至上主義者」は自分の意思とは別に、自ずと気候変動対策としての取り組みに参加させられている状態を作ることが重要だと思う。

要するに、気候変動対策を、経済原理の中にしっかりと組み込むことが、自発的な取り組みとなるのである。

本IGESレポートにも記載されているが、そのためには2030年までには、経済指標を測る「GDP指標のみ」からの脱却が必要だと考える。

GDPだけではなく、環境資本の経済の内部化が進めば、資本主義のあり方も変わり、コロナ禍に起きた、外出自粛時状態のような「静かな経済活動」で成り立つようになるのである。

結語(映画「マトリックス」からの引用)

話は変わるが、映画「マトリックス」の敵役「スミス」が主人公ネオにいうセリフがとても頭に残る。

スミス「人類の分類を試みていた時だった。人類は哺乳類ではないことに気づいたのだ。すべてのこの星の哺乳類は、無意識に周囲の環境と調和を取って発展してきた。だが、人類は違う。ある地域に移動すると、人類は自然の資源を使い尽くすまで増殖する。そして、生息地域を広げることで生き延びてきた。同じような生きる有機体が、この地球上にももう1種類いる。わかるかね?ウィルスだよ。人類は病気なのだよ。この星のがんだ。君たちはペストで、我々が治療するんだ」
Agent Smith: It came to me when I tried to classify your species and I realized that you're not actually mammals. Every mammal on this planet instinctively develops a natural equilibrium with the surrounding environment but you humans do not. You move to an area and you multiply and multiply until every natural resource is consumed and the only way you can survive is to spread to another area. There is another organism on this planet that follows the same pattern. Do you know what it is? A virus. Human beings are a disease, a cancer of this planet. You're a plague and we are the cure.

コロナウイルスは人間にとってウイルスであるが、地球にとってのウイルスはなんだろうか?

そういった問いかけをされた時に、一番妥当な答えとして考えられるのは「人間」ではないだろうか?

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