断定的な言い方をする「自称専門家」には要注意!ネット社会での情報に踊らされないために
こんにちは、ユウ(Twitter:@supps-jiten)と申します。
自身が理系の大学院卒であることからもわかるように根っからの理論派です。筋トレやダイエットにまつわる様々な説、理論を検証するのが好きで、様々な文献を読んでは、それを私が運営する「サプリ辞典」というサイトで発信しています。
このサイトではサプリメントや美容品の通販サイト「iHerb」のセール情報を紹介しています。
さて、以前私はこのような内容のツイートをしました。
「○○は△△しかない」
「必ず~」
「100%~」
のような断定的な言い方には注意です。
科学では100%はあり得ませんから、「有意に~」といった言い回しを使うはずです。こんなことは理系の人間からしたら常識で、断定的な言い方をしている人ははっきり言って素人です。注意しましょう。
https://twitter.com/supps_jiten/status/1485084162017337345
これに関してもう少し詳細に説明しましょう。
本当に専門家?
理系の分野の「専門家」と呼ばれる人は断定的な表現を嫌います。
なぜなら、専門家は「科学が万能ではない」ことを知っているからです。
これは「科学は世の中の事象を理解するには有用だけれども、まだまだ私には知らないことがたくさんあるから万能ではない」という謙遜や謙虚な姿勢に繋がるかもしれません。
あまりアカデミックな分野に接したことがない人や文系の人は理系の人間というと科学に精通している人。と考えがちですが、科学は科学でもその中の分野はとても詳細に分けられています。
分野が1つ異なれば専門家ではなく非専門家です。
なので、そういった専門ではない分野には下手に口出しをせず、議論の余地を残すことが重要なのです。
専門家でも断定的表現は嫌う
仮に自分が専門家と名乗れる立場だったり、その分野の第一人者だったとしても断定は嫌います。
だって、「俺はこの分野の専門家だ!何でも知っている。これは俺の言ってることは100%正しい」
って言ってる人がいたら「この人の言うことは注意しよう」って思うじゃないですか?(笑)
なぜこういった理系の人が断定を嫌うのかというと、科学が万能ではなく、「今の共通認識も後々ひっくり返るかもしれない。”今のところの”常識」として捉えているからです。
後でひっくり返る可能性が十分にあるということを知っているから、その議論の余地を残すために断定はご法度なのです。
これは後々でそれを覆す実験結果や論文が出てきたときの「逃げ道を作っておく。」といったら言葉が悪いでしょうが、科学の分野ではそのようなことはよくあります。
なので、「私の知っている限りの内容ではこれが”今のところの”結論だ」と言う言い方をするのです。
どうしても100%自分の言っていることが正しいんだ!と主張したい時には科学者らしく数字を用います。
「物理量XXにおいてAのデータはBのデータに比べて有意に○○だ。その信頼度は90%だ」みたいな感じです。
信頼度とは簡単に言うと「統計学における推定すべき値が信頼区間にはいっている確率。 」のことで100%となるような実験はまずあり得ません。
(余談)論文について
ちょっと話が脱線しますが、論文についての認識も理系の人間とそれ以外の人で異なっていると思うので補足します。
論文は「ある事象に対しての認識を述べる叩き台」みたいなもんで、論文が出たからと言ってそれが証明された。必ず正しい。ということにはなりません。
論文とはざっくり言うと「実験したらこんな結果が得られました。この結果から私は~~だと思いますが、みなさんどう思います?」
みたいな感じです。
それに対して
「おー!確かにあなたの言ってることは正しいんじゃないか⁉」
だったり
「実験のやり方がおかしい!やり直し!」
「いやそうはならんやろ。解釈が間違っている!」
などの意見がいろいろ出てきます。
論文は「結果を示すものではなく、問題提起の側面が強いです」
なので論文があるからと言ってその中身が正しい。ということにはならないので注意しましょう。
せめてその中身が正しい。ということが言いたいなら、様々な論文をかき集めてその中での共通認識を探した「メタアナリシス」といった論文の形態が良いです。
つまり、みんなの主張が一致していたら正しいっぽいよね。ってことです。しかし、再三言うように「100%正しい」のではなく「正しいっぽい」です。
SNSの断定的な情報には要注意
SNSではインパクトを与えてなんぼなので断定的言い方が好まれます。
それはわからなくもないのですが、そういう場合は論文のソースなり、実験環境、被験者、サンプル数などの基本的な情報は併せて提示すべきです。
逆に言うと、それをしていない発信者は不誠実だと思います。データの根拠がないのに自分の言っていることを信用しろ。というのはいかがなものかと。
「これは100%○○だ!根拠はない!」
ってことですから。信用できません。
このような言い方の情報に注意して、真に受けないようにするだけで情報への感度はあがります。
私のところにも多くのこのような質問が寄せられます。
情報が多すぎてどの情報を信用していいのかわかりません。
本来は論文などの1次ソースにあたる。ことが重要なのですが、簡単にできることとしては
・その人の発信している内容と携わっている分野が一致してるか?
・一緒に論文やデータの在りどころ(一次ソース)を提示しているか?
・SNSで断定的な言い方をしている人には要注意
です。
このようなことを知っているだけで、情報の海に流されなくて済みますし、邪魔な雑音も排除することができます。
仮に断定的な言い方をしている人の発言やソースを提示していない人の発言を見つけても
「あーはいはい、そういう考え方もあるよね~」
くらいで済ませておきましょう。
これくらいが精神衛生上も良いです。