近代的自我を克服する・実践編

「近代的自我」の正体とはたぶん、頭の使いすぎな人のことです。
整体の見地からすると、そうです。

夏目漱石は2種体癖の代表格だと、野口整体で言われます。
2種体癖は”間脳過敏型”ともいいます。
悩んでばかりで答えが出ない、堂々巡りを繰り返す人物像。不安を食って不安を吐くようなネガティヴ仙人。最近のアニメだと『エヴァンゲリオン』のシンジくんですね。
私も不調時は2種が濃くなるので、痛いほど分かります。

「近代的自我」を言い出した作家たちは、もれなく日本の高等教育を受けた、生粋のエリートでした。それだけ悩める高い知性があるということです(彼らの生態をよく知りたい方は漫画『坊ちゃんの時代シリーズ』を御拝読ください)。

芥川龍之介や太宰治も、2種や6種の色が濃いめです。文才がある人というのは、どこか心にもろさを抱えている。それが悩みを知らない庶民には、たまらなく魅力に映るものでした。

ですが対照的に現代は、誰もが「漠たる不安」の中に置かれています。それはもはや、有閑階級の特権ではありません。
コロナ禍の到来によって、不安は私たちの一部と化してしまったように思えます。
悩みや不安が身体にいいことは、残念ながら一つもありません。
呼吸が浅くなり、頭に気が昇って、臍下丹田から力が抜けます。陸に上げられた魚のごとしです。頭の使いすぎな人ほどこの状態になりやすい。

そういう状態を、身体訓練で脱することができます。

まず正座します。
次にみぞおちから三本下に指を当て、身体を前に倒しつつ息を吐ききります。
これを数回繰り返して、肺の中の残留空気を入れ替えます。
これを「邪気吐き」といいます(古風ですね)。

それからお腹に息を溜めて、下腹を膨らせます。
腹圧をかけて「ううむ」と息を漏らしつつ、数秒ほどこらえます。
これを「漏気法」といいます。
やってみると分かりますが、普段の浅い呼吸よりも息が深く入ります。
これを一日100回くらいやると、全身がどんどん変わっていきます。

不安には実は、根拠がありません。
根拠がないから不安になるのだともいえます。
そしてその身体的な特徴は、誰だろうが一致していて、「臍下丹田から力が抜けること」です。
つまり臍下丹田に空気をバリっと充填すれば、不安は消え去ります。

不安でたまらない人は、腹圧を存分に鍛えてください。

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