見出し画像

ピータンハウスその3 住宅性能編

 家の良し悪しって何で決まるのだろうか。見た目の好みや色々な設備は置いておいて、気密・断熱性能、耐震性なんかは数値化がなされている。客観的なパラメータとして表示されている数少ない部分だからこそビルダーを決める絶対的な基準になるのでここは押さえておきたい。ここをアピールしてないビルダーは少し疑ってかかった方がいいってくらいのレベル。今日は家、結局、空気みたいな話。

C値と換気システム

C値について

 C値は家がどのくらい密閉されているかを表す数値。数値を出すにはそこそこ費用が掛かる専用の検査が必要。最低限1は切りたい。安定して0.5を切っている家を作っているビルダーはいい職人を抱えている目安になるかもしれない。うちは0.7。同じ工務店でも規格住宅は0.5~1くらい、注文住宅の仕様では0.1~0.5が多かったので細かい仕様の違いかあるいは使う木材・金物でも気密性能に差が出るのかもしれない(憶測)
 勝手に隙間を埋めてくれる木材と違って鉄骨系のHMはどうしても気密が取りづらいので、高気密はあまり推してない。むしろ聞かれるまでなるべく答えない印象。ただ耐震としてはやはり強いので何事もメリットデメリット。
 気密がどれだけ高くても結局法で定められた換気は行わなければならないし、そのための24時間換気がどんな家にもついている。ではなぜC値が大事かと言うと空気の流れが想定した通りにきちんと動いてくれるかが大事だから。断熱のみが先行して強化され、気密が今ほど重要視されていなかった時代、室温で温められた柱や金物が外から入り込んでくる冷気で結露し、壁の中はカビだらけ、木材は腐るといったことになったそう(かなり簡単に書いたので詳しくは調べてください)断熱と気密は同時進行大事。

換気システムについて

 ちょうどいいのでここで換気システムの話。その義務化された換気は当然換気用の設備で行われ、住宅用としては第一種換気、第三種換気の二種類のシステムが存在する。
 第一種は機械で吸気を行い、排気も機械で行う。家の中の空気は等圧。一般的にこの業界で一種換気といったら熱交換型のことを指す。吸気した空気をその場で温め室内へ送るというもの。気密が良ければよいほどこの換気システムを通って家の中に空気が入ってくるのでやっぱりC値は大事。ダクト式だったりダクトレスだったり全館空調と兼ねてるものがあったり様々だけど、自分でメンテナンスできないダクトも、いずれ壊れたら自分でどうにかできない設備も好みではなくうちでは第三種換気を採用(つーかそれが標準)
 変わって第三種換気は排気を機械で、吸気は自然任せというもの。機械排気で家の中を負圧にすることによって外の空気を呼び込むのでこれもやっぱりC値は大事。どちらにせよ大事。家を締めきってレンジフードとか換気扇をフル稼働すると子供は玄関ドア開けられなくなるのもご愛敬。メリットは設備がシンプルなこと。排気も簡単な換気扇なので交換も簡単。デメリットは吸気口から直で冷たい空気が入ってくること、埃・花粉対策が吸気口についてる簡単なフィルターのみ。
※これはうちの後悔ポイントなんだけどオフの時に密閉できるタイプのファンにすることを強くお勧めします。
※ちなみに建物内を正圧にして埃を寄せ付けない第二種換気もあるけれども住宅には使われないみたい。
 じゃあ第一種と第三種どっちがいいのって話は政治、宗教、野球に並んで初対面でしない方がいい話題。メンテしてない一種換気はえらいことになるから、車のエンジンオイルマメに換えるタイプじゃない人は一種換気やめた方がいいっていうのはよくある笑い話。

バズってたとかではないんだけどたまたま見かけたツイートに笑ってしまう

Ua値と窓

 家からどれだけ熱が逃げにくいか、要は断熱性能を表した数値。壁、天井、床下の断熱材の厚み、玄関ドア、そして一番大事な窓で大きく変わってくる。これは設計段階で計算される数値なのであらかじめ標準を設定しているビルダーも多い。家の熱の約6割は窓から逃げると言われていて、窓に課金すればするほど数値が良くなるというイメージ(だいぶざっくり)
 窓の性能を大きく分けるのはガラスの枚数、そしてサッシの素材。昔の日本の家はアルミサッシでガラスもシングルがほとんど。そんな日本の住宅の性能に革命を起こした(と私が勝手に思っている)のがYKKAPのAPW330という窓。アルミより熱を伝えにくい樹脂のサッシでガラスはダブル。昔は樹脂サッシは流通量が少なく高かったらしいけども、その性能から徐々に徐々に増えていき、現在では多くのビルダーが標準に設定している定番商品となっている。いまだにアルミに比べた対候性に疑問を持っている人も多いけど(これもポジトークかも)
 YKKAPが上場企業だったら間違いなく投資していたことだろう。当時リクシルなんかは表がアルミ、内側が樹脂の複合サッシを推したりしてたけど性能面では敵わなかった。一応窓枠が細いアルミの方が意匠性が高いというメリットもあるけど。うちももれなくAPW330だけれども窓から冷気は感じないし結露もほとんど見られない。ちなみにこれがトリプルガラスになったAPW430という商品もあり断熱ガチ勢にはこっち。ただうちの場合は採用したときに上がる金額がどう見ても釣り合っているようには見えなかったので不採用。
※他にもガラスの間の空気層に入れてあるガスだったり、スペーサーによっても窓の性能は変わる。奥が深い。

 また窓は単体の性能だけではなく、開き方の種類で気密性能が変わってくる。一番いいのは当たり前だけど空けることのできないはめ殺し窓(fix窓)24時間換気が義務の現代の家屋で窓を開けて換気する必要性はあまりない。とはいえ春先や秋口なんかは風が入ると気持ちいんだけど。
 次に気密性が高いのは滑り出し窓。ドアノブが付いていて閉める時に圧がかかって密閉される。縦すべり窓、横すべり窓どっちがどっちか混乱する問題は人類の永遠の課題(縦すべりは横に開いて横すべりは縦に開く)
 一番気密性が低いのは引き違い窓。ベランダとかに出入りする時のよくあるアイツ。なるべく採用を控えたいけど庭に面する所なんかはどうしても使わざるを得ない時もある。あとは当然窓の枚数、面積が少なければ少ないほど断熱的にもコスト面でも良くなるけど採光も大事なのでそこはバランスよく。最近はトイレや風呂の窓は要らない教が主流。
 

左上左下右上がfix窓 開いてるのは縦すべり窓

地域区分と断熱等級


 日本の家寒すぎやろなんとかせえ→うーんじゃあ基準を決めなあかんなあ→せやかて小さな島国とはいえ北と南じゃ大違いやで→せや!地域を気候で分けてそれぞれに基準のUa値を設定したろ!みたいな感じの話。

うちと檜原村、奥多摩町が同じってマジ?(二回目)

 ZEH基準が最低ラインというのが最近の論調なんじゃないかと思う。G3は断熱にかける課金額が得られる電気代節約に追いつかないというのもよく聞く。一般的な木造住宅では柱と柱の間に断熱材を施工する。なので柱の厚み以上に断熱材を厚くするのは不可能。そこでG3を目指す場合には外貼り断熱が必須条件となってくる。もちろん採用してないので詳しくは調べてみてください。なので自分の地域区分とコストと見合った断熱性能を目指しましょう。

柱の間に入ってる断熱材 発砲ウレタンの方がグラスウールに比べて施工の差が出にくいとのこと

エアコンについて

 最後に空調設備の話。我が家の空調計画は上階ホールに1台、下階リビングに1台。それぞれ寒冷地仕様の14畳用(なぜ14畳かは前回の松尾先生の動画参照)夏は二階のエアコンで冷房を。上からじっくり冷気が下りてくるのでエアコンの風直あたり問題を防止。けれど問題は冬。冬はリビングのエアコン+石油ストーブで加湿兼補助暖房。本来高気密高断熱住宅では灯油のストーブはご法度だけど加湿器高いしメンテめんどいし電気代高いので無理やり採用。

お湯も沸かせてご飯も炊けるスグレモノ

 今年から石油ストーブでだいぶ改善されたけどエアコン暖房はどうしても足元が寒い。しつこい持論だけど全館空調や床暖房は修理コストが爆上がりでNG(金があるなら快適なことは間違いない。自分の宗教の問題)
 けどこれならと思ったのが最近流行りの床下エアコンという謎技術。床下ではなく基礎の内側に断熱を施工し、基礎内にエアコンの暖気を巡らせ足元から暖かい空気が上がってくるという代物。設備も普通の壁掛けエアコンを足元に設置するので交換もできる。この謎技術を知った時にはもう既に遅し。お願いした仕様は床断熱で、もちろん床下エアコンも施工したことがなく無理だった。結局体験したことはないからエアプではあるんだけど出来たらよかったなあと今でも思ってる。

 そうでなくともエアコンの配置は結構大事で、できればエアコンのことも面倒見てくれるビルダーがやっぱり信頼できる。うちの場合はここら辺にエアコンの200Vコンセント用意しときますね、設置と購入は業者に頼んでくださいというスタンスだった。設置場所の相談にはだいぶ乗ってもらったけど。
 規格住宅だったので間取り上設置可能場所が限られていたり、外観上室外機を置けない/置きたくないだったったり意外と制約が多い。注文住宅なのであれば空調を含めた設計をお願いするのがいいと思う。壁に穴もあけるので気密処理をしっかりしてくれる設置業者じゃなきゃ元も子もない。
 色々制約の上悩んだ結果、エアコンの性能を発揮する分には問題ないけど、リビングはテレビと同じ面にエアコンがあってうるさい、二階は外壁のすぐ内側には設置できず一部屋配管が貫通するといった形となった。前者は音が広がりやすいという吹き抜けのデメリットも相まってまあまあ不都合を感じている。

おわり

 というわけで住宅性能編でした。しつこいけど住宅性能は凝りだしたらキリがないので課金額とメリットをしっかりと天秤にかけていただければと思います。そこそこ性能の我が家でも十分快適だと感じてます。
 いい加減終わりにしようと思っているので残りは細かすぎて伝わるかどうかわからないけど刺さる人には刺さるTIPS編で締めたいと思います(多分)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?