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「MとRの物語リライト」、作家性という、謎の言葉

 自作の小説、「MとRの物語」を今風にアレンジしてしまおうという企画の続きです。前回は、ここをご覧いただいている皆さんに、早急にお伝えしておいた方がいいと思われる、「コンテンツの質を高める3つの要素」である「マクガフィン」、「サイドストーリーやミニストーリー」、「キーアイテム」について、お伝えしましたね。

 上記について、まだまだ語り足りない部分があるのですけれど、それはネットに解説が多く存在しているので、ぐぐって調べてみていただければいいと思います。ただ、なかなか的を射た、わかりやすくシンプルに書かれた解説って、みつからないのですけれど💦

※「サイドストーリーやミニストーリー」は、ぐぐっても出てきませんが、「バックストーリー」で検索すると、割と近いものが出てきますので参考になるかも知れません。

 という、前置きはそこそこにして、今日の本題にまいりましょう。「作家性」とは何か。


 まず、私が「作家性」という言葉を生まれて初めて聞いたのは、5年ほど前のこと。2017年くらいです。

 どのような文脈だったかというと、「コンテンツには、作家性というものが必要だ」、「作家性のないコンテンツは、コンテンツとして程度が低い。子供向けである」、というようなものでした。

 ただ、その後調べてみた所、「作家性」という言葉の定義自体が、人それぞれでマチマチ。そこをまず整理しないと、なんとも言えないなあと、思っておりました。

 まずそこを、整理してみましょう。

作家性の定義:
①その作品で、作者が伝えたかったテーマやメッセージ。
②ある作者が持つ、独特で固有の構成や文体や技術や雰囲気。
③その作品を通して透けてみえる、作者の思想、考え方、性格。
④ある作品に比喩的に込められた、作者の実体験。
⑤ある作家が、自分の作品で追い求め続けている「何か」
⑥その作者でなければならない「何か」

 上記は「真似しやすい」順、「パクりやすい順」に、並んでいます。さらに言うと、下にあるものほど、重要なものです。

一つ一つ、ざっと見ていきましょう。

①まずある作品の、「テーマ」や「メッセージ」というのは、一番パクりやすいですね。簡単にパクられてしまうようなものは、作家性とは言えませんね。その意味で、「テーマ」や「メッセージ」を作家性の一つとする必要は、ないかも知れません。

②次に「独特で固有の、構成や文体や技術や雰囲気」ですが、これは数か月、あるいは数年の修行で身につけることが可能です。偉大な作家のひとり、筒井康隆さんなんかも、作品ごとに様々な文体を使い分けてますね。筒井さんはジャズにもお詳しいため、「その作品のかもしだす空気」、をどう表現するかの戦略を、ジャズのアドリブ風に、立てている気がします。
 といった感じで、「テーマ」や「メッセージ」よりはパクりづらいですが、例えば大好きな作家さんの文体とか構成やストーリー展開などは、何冊もその作家さんの本を読んでいるうちに、身につくはずです。その点、割と重要な要素ではありますが、ものすごく大事な「作家性」である、とまでは言えませんね。

③次は、その作品を通して透けてみえる、作者の思想、考え方、性格。例えば「絶対に主人公が、悩まない小説」、「絶対に主人公の仲間が死なない小説」、などですね。「小説家になろう」というサイトで人気になる小説の特長として、「ストレスフリー」、「主人公がお気楽」、「主人公以外のキャラが、主人公をほめて伸ばす」、みたいな要素が上げられますけれども、こういうものから感じられる、作者の人となり、ですね。
 優しい人が書いた小説は、やさしいストーリーになる。わがままな人が書いた小説は、わがままなストーリーになる。自分の思想や考え方、性格にぴったりマッチした小説を書く時に、その人の作品は、もっとも光り輝くはずです。これは簡単には、真似できるものではありませんし、読者がその作家を選ぶ、大きな理由になりそうですね。

④ある作品に比喩的に込められた、作者の実体験。これはある意味、ストレートにではなく別の角度から描かれた、「作者の自伝」になります。その作品はどういうストーリーか、だけではなく、「誰のどのような人生が、比喩的にどう織りこまれているか」を深読みしてその謎解きを楽しむという、「大人の楽しみ」になりますね。例えば庵野秀明、新海誠、細田守などのアニメーターの作品を、「ストーリー的には意味不明だけど、作家性は抜群だ!」、みたいに神格化する人達がいますが、私はそのような楽しみ方は、時間の無駄だと思うし、あまり重視はしていません。自伝を書きたいなら自伝を書けばいいのだし、作品はまたそれとは別ものとしなければ、なりません。
 ただ、AIに説明可能なAIが求められているように、また現代の美術作品も説明可能なものが求められるように、映画やアニメ、小説などのコンテンツも、説明可能(その作品を楽しめる客観的理由)でなければならないのかもしれず、また批評家のみなさんは、そのような作品をより歓迎するのでしょう。

 どっちにせよこれは、真似してできるものではありませんね。ある程度クリエイターとして成功を収めた人限定の、ボーナス要素と言えるかも知れません。

⑤ある作家が追い求めている「何か」。これは作家としてではなく、一個人として興味を持って研究し続け、あるいは実験を積み重ね、それを作品として発表していくというものです。エドガー・アラン・ポーの追い求めた「日常と異常」、夢野久作の追い求めた「精神と狂気」、H・P・ラヴクラフトの求めた「宇宙と恐怖」、トールキンの追い求めた「神話と言語」、アシモフの追い求めた「科学と倫理」、などなど。私が最も重視する「作家性」というのは、これです。これも真似してできるようなものではないですね。話題となる作家の作品には、必ずなんらかの話題への強い興味や、こだわりと言ってもいいほどの強い愛を感じます。
 その作者の作品を読むと、こういう感動や感情が得られる、というわかりやすい指標があると、その作者の作品を手に取りやすくなりますね。

⑥その作者でなければならない「何か」。これは作者自身の人間的魅力とか、裏付けとか、説得力です。
・なろうで年間1位を獲得! 獲得ポイント数、合計1億ポイント!
・「株式会社●●取締役」、「●●アドバイザー」、「リアル研究者」、「リアル技術者」、「リアル公務員」、「●●大学教授」、などの肩書
・弁護士資格を取得、カラーコーディネーターの資格取得、などの資格
・世界一周旅行を何度も体験。日本の名所をすべて訪問、などの実績
・日本の電車の駅すべて言えます、などの記憶力
・億万長者、あるいは超一流企業の社長の息子、あるいは話題のお笑い芸人
・友人が多く、毎週休日にBBQを行うパリピ。
上記のような、第三者にとってわかりやすい「何か」があり、それをアピールしていくことで、より多くのチャンスを得やすくなりますね。


最後にまとめです。

「それら作家性を、どのように考え、どのように磨いていけばいいのか」

①や②で述べたように、テーマやメッセージなどのアイデアは、人の作品からパクればいいです。構成や文体や技術力などは、練習で何とかなるし、ワンチャン全くなくても、作品自体に何か光るものがあればなんとかなります。③は努力でなんとかなるのもではないので、あきらめてもいいし、いろんな性格の人に感情移入可能な「超!・共感力」を鍛えてもいいですね。

④は成功したクリエイター限定の要素なのですが、別にクリエイターでなくても、別のジャンルで大成功を収めて、その話題性で注目を集めたり、その体験をストーリーに生かしたりすれば、オリジナリティーと説得力を兼ね備えた、面白い小説が書けるかもしれませんね。

⑤は最も私が重視したい「作家性」ですが、何かに一生興味を持ち、そればっかりを追い求める人生というのは、幸運にも恵まれてないと、できないことかも知れません。その点私は「AI」についてのわりと詳しい知識があるし、絵が得意という特長もありますので、「現代のアシモフ」、「現代のレンブラント」として、伸びていける可能性はあるかも知れません(笑。そのような、「何かへの異常な興味と、探求心」を、磨いていくと、いいですね。

⑥は小説の技術だけ磨いても、何にもなりません。いろんな経験をつみ、体験をし、チャレンジしていくことが、重要ですね。そこで大切なのは、第三者にわかりやすい、また証明しやすいものであること、証拠が残るものであること、誰かに証明してもらえるものであること。私は若い頃からこれを軽視してしまっていたために、「なんでも器用にこなす実力はあるのだけれども、誰からも信用してもらえない、超・器用貧乏なおじちゃん」、になってしまいました(笑。

 以上、作家として成り上がるためには、技術力だけあげてもダメで、いろんなものにチャレンジして、成功体験を積み上げて、人を尊敬して人脈を大切にし、毎週キャンプをしてBBQを楽しみましょう、というお話でした(笑。

 本記事で、「MとRリライト」企画は終了です。これまで書きためてある原稿や、noteで公開させていただいた記事を元に、私の考える最強の執筆論を、執筆中です。いつになるかわかりませんが、そこそこリーズナブルな価格で、ご提供させていただく予定です。楽しみにお待ちください!

 今日も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


「女の子のために、真剣な表情で小説を書く猫ちゃん」 by Stable Diffusion 2.1

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