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長編文学小説・MとRの物語

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Mというのは、あの、三島由紀夫さんのことです。三島由紀夫さんが現代によみがえり、女子高生とともに小説を書いていく、というお話です。ファンタジーっぽいですが、純文学です。
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#サイコライティング

【まとめ】長編文学小説「MとRの物語」

前書き  タイトルの「M」というのは、あの、三島由紀夫さんのことです。三島由紀夫さんが現代によみがえり、女子高生とともに小説を書いていく、というお話です。ファンタジーっぽいですが、純文学です。  三島さんが死の直前に書き上げた、「豊穣の海」全4巻の大長編小説は、実は全5巻となる予定だった、またエンディングは実際に発表されたものとは違う予定だったという、わりと信ぴょう性の高い噂があります。本小説は、作者である私(超プリン体)が三島由紀夫さんになりきり、三島さんを現代によみがえ

01「MとRの物語」・序章 「シチショウホウコク」

(目次はこちら) 序章  シチショウホウコク シチショウテンセイ  アラヤサウナリ マクマノメイドウ  俺は漂うおびただしい光の粒を、ただただ見つめていた。  寄せては返し、寄せては返すその波は、  俺の心を洗い癒した。  眼前に広がる、ただただ白い、光の空間。  俺は今ここで、何をしているのか。  俺は以前ここで、何をしていたのか。  そして俺はこれから、何をなすのか。    焦燥は、あった。  だが今は、それを隠すのだ。  俺は右手を上げ、光の粒を慈しむ。  彼

25「MとRの物語(Aルート)」第二章 2節 ショッピングモール

今回はいいプロットが浮かばなくて、 ほとんど「サイコ・ライティング」に頼り切り。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 2節 ショッピングモール  夏休みだというのに、Rは一日中、読書をしている。俺はそんなRの前の席に座り、新聞を読んだり、インターネットのニュースサイトをチェックしたりしている。Rに、少しは外に出た方がと言いたくもあるが、俺にとってこのような情報収集のための時間は、非常に重要であるし、それに小麦色にやけた女性の肌というのも、俺はあまり好き

31「MとRの物語(Aルート)」第二章 8節 「松風」のシーン・リライト

二章8節「松風」のシーン、をリライト。 Rちゃんの理解力が高すぎたのと、生意気すぎたのをカット。 削れた部分を、サイコ・ライティングにて補修。 これならなんとか納得の出来。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 8節 「松風」のシーン・リライト 本を読む、Rの息が深い。ときおり、すぴー、という音も聞こえる。 どうやら眠ってしまったようだ。そんなRを、Mが見つめている。 「やっぱり……、松風でスローダウンか。  いや、これじゃあスローダウンどころか機能停

32「MとRの物語(Aルート)」第二章 9節 2度目のデートの計画

「MとRの物語(Aルート)」第二章 9節 2度目のデートの計画 ぬーん……。 またまた思いもよらぬ展開に……。 なんとかなるだろうか、心配だなあw (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 9節 2度目のデートの計画  Rが、「豊穣の海・第二巻」を読み終えた。ふう、とため息をついて、天井を見つめるR。MはRの感想を聞きたくて仕方がなかったが、やはり作者から聞き出そうとするのは無粋だと考え、黙っていた。だが、沈黙の時間が余りに長かったため、たまらずMは、「コ

33「MとRの物語(Aルート)」第二章 10節 「君の名は」

一度も見たことがないアニメ映画を小説に登場させるなんて! と思いながらも書いてみる。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 10節 「君の名は」 きらっと光る、Rの眼にMはたじろいだ。 「ん? もしかして、見たい映画があるのか?」 「うん、あるよ! 『君の名は』が見たい!!」 「アニメ……、か……」 君の名は、というのは、結構話題となっているアニメ映画で、 ジブリを超えたとさえ言われているものだ。 Mはジブリの作品の知識も、もちろん持っている。

35「MとRの物語(Aルート)」第二章 12節 告白

すべて正直なのが、いいとは限らない。 でもRは、その道を選びました。 収束したり、拡散したりしながら、未来は確定されていく。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 12節 告白 「お母さん、2巻読み終えたよ!」 残業を終えて帰宅した母親に、Rがうれしそうに報告した。 「そうなの? すごいね!  2巻で挫折する人も、多いって聞いてたけど!」 母は奥の部屋に向かい、Rの父の遺品入れを探った。 最近は母親は、夜の食事の支度をすることはなかった。 Rが料理を

36「MとRの物語(Aルート)」第二章 13節 父の言葉

乗り越えないといけない悲しみが、人にはある。 その先にはきっと、光が待っている。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 13節 父の言葉 母とMは、椅子に座った。 母親は、ハンドタオルで顔を押さえ、泣きっぱなしだ。 Rは居心地悪そうに、箸を取り上げもぐもぐと食事を続けている。 Rの目にも、涙が浮かんでいる。母親の涙を、見るに堪えないのだ。  Mさん、お母さんどうしたんだろう。  なんで泣いてるの? Rの目からこぼれた涙が、白いご飯の上に、ぽろっと落ち

37「MとRの物語(Aルート)」第二章 14節 新学期

ついに第二章も終了。Rちゃんの闘いは、これからだ! (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第二章 14節 新学期  ついに新学期が始まった。Rはこの夏、大きく成長した。教室に入ると、何人かのクラスメートが、こちらをちらっと見た。気のせいか、少し驚いたような表情。いや、気のせいではない。私の心が変われば、周囲の人の心も、きっと変わるのだ、とRは思った。確か以前Mさんも、そう言っていた。  まだ始業には少し時間がある。Rは、カバンから文庫本を取り出した。「豊饒の海

38「MとRの物語(Aルート)」第三章 1節 図書室の少女の霊

世界的科学者のホーキングは言う。「霊などいない」と。 それはそうだ。理詰めで考えれば、そうなる。 でも神が気まぐれに、「霊よあれ」と言ったとしたなら? (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 1節 図書室の少女の霊  Rは少しずつ、クラスメイトと打ち解けていった。  Mは考えていた……。新学期になって最初に、Rに声をかけてくれたメガネっ子と、挨拶を交わし始めてからは簡単だった。みんなRの過去、「荒れていた中学校時代」についての噂を信じ込み、怖れていたのだ

39「MとRの物語(Aルート)」第三章 2節 執着と負のエネルギー

幽霊とは、この世の超常現象のうちの、レアカード。 それがもし本当だとすれば、怖くもありわくわくもするね。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 2節 執着と負のエネルギー Rは「幽霊」で、検索してみた。 出てきた説明を眺めていたRは、やがてMに言った。  Mさん、幽霊は、昔は何かを教えたり、要求するために、  現れたそうだけど、段々、怨念や復讐のために、  出現するようになったみたいだよ。  そういう風に、幽霊が目的を変えることってあるの?  それは

40「MとRの物語(Aルート)」第三章 3節 カードバトル

「楽しい小説」とはなんだ。 それがもし、「お手軽に快楽を与えてくれるドラッグ」なのだとすれば、 私はそれを、断固として否定する。 (目次はこちら)  放課後、Rが約束の場所へ向かうと、例の男子はすでにそこで待っていた。 「お待たせ、早いね」 「うん、それだけが俺の取り柄だからね」 確かに、彼は足は速そうだ。もし危険がせまったら、この男子の足が、武器になるかもしれない、と考えてRはそんな自分の考えを否定した。駄目だ。この人をそこまで巻き込めない。少女の霊は、私とMさんだ

41「MとRの物語(Aルート)」第三章 4節 バトル開始

これのどこが純文学なんだよ、と思いながらも、 「純文学」タグを付け続ける私。 (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 4節 バトル開始 校門の近くまで自転車を押して歩いたRは、 そこで足をとめ、冷たい校舎に視線をやった。 その中央、3階建ての校舎の2階に、図書室はあるはずだった。  大丈夫、きっと今日は、何も起こらないよ。  うん、そうだな、確率的に言えば、たぶんそうなるだろう。 Rは図書室の窓に、視線をやった。 期待半分、不安半分。だが何かしらの破

42「MとRの物語(Aルート)」第三章 5節 アヅマカガミとアマテラス

やってみなくちゃわからない。 それがNHKの「大科学実験」と、サイコライティング。 結果、予想外の所でアイツが出現。さてさて、どうなるやら? (目次はこちら) 「MとRの物語(Aルート)」第三章 5節 アヅマカガミとアマテラス Rは振り返った。 その瞬間Mには、ゆらゆらと左右に身体を揺すりながら、 こちらに近づいてくる、白いワンピースを着た、女性の霊が見えた。 その顔はホラー映画のゾンビのように、不吉でおぞましい。  R、見えるか? そこにいるぞ!  どこ? 見えな