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松任谷由実の「ダイヤモンドダストが消えぬまに」で「ヨッ!!!」っていつも言っちゃう話

「ダイヤモンドダスト」
空気中の水蒸気が凍ってキラキラと輝く
自然現象。

つまりこの曲、
タイトルから連想できるのは、
冬景色。

なのに出だしでびっくり
「はじめまして 碧いラグーン」
ラグーン。え?夏やん!!!!!!
ってなるこの仕掛け。

ユーミンの曲にはいろんな仕掛けがあるけれど、
この曲の仕掛けがめちゃくちゃ好きなのです。

そう、
この曲は真逆の季節の「冬曲」と「夏曲」が
表裏一体になった曲。

そんな真逆のシチュエーションと記憶、
気持ちが表現されてて
不思議で面白い体験ができるんですわ。

夏編

はじめまして 碧いラグーン
紅珊瑚のトナカイたち
貿易風に運ばれて来た
二人だけ真夏のクリスマス
愛してるとスノーケルで
ガラス越しにパントマイム
フィンをゆらしてあなたの影が
サファイアの中吸い込まれてく
Diamond Dust 幾千の泡を見送って
時がとまってた海の底
Diamond Dust 幾億の波を見上げたら
なぜか思いきり泣けた

まずは夏編。
碧いラグーンでスノーケルしてると思われる、
幸せそうな2人。

海の中でパントマイムするような、
ちょっと愉快な彼だったんだなぁ〜。

そんな彼をサファイアの中追いかけていく、
その先に見える「Diamond Dust幾千の泡」。
ここでおよよっ!ってなりますよね。
そう、海の中で発生する「幾千の泡」、
真夏のダイヤモンドダスト。

ケェーーーーーー!!!
よっ!ユーミン!
と言いたくなるこのウマさ。

実はその前にも、
紅珊瑚のトナカイ、真夏のクリスマス、
と、
夏の情景×冬の情景の要素を入れてきていて、
聴く側を楽しませる。

登場しているこの2人にとって、
特に主人公の女子にとって、
この夏の海で見つけた真夏のダイヤモンドダストは
世界で一番美しかったんだと思う。

そこから時が経ち、
ある冬の季節が二番には描かれております。

冬編

はじめまして ひとりの冬
クリスマスにさあ乾杯
この日のためにあけずにおいた
冷えたボトルが音をたてるわ

Diamond Dust 幾千の泡をしたがえて
二人旅をした海の底
Diamond Dust シャンパンをそっとのぞいたら
帰りたかったの去年へ

はい〜もうひとりの冬が
はじめましてしてる〜

別れたんですね。あの人と。
クリスマスに一緒に開けようとしていた
シャンパンボトルを一人で乾杯。

いたたたたたたた!!!!!!!
イタイんだよな!!!だから好き!!!
そう、ユーミンの曲に出てくる、
明らかに恋愛下手で不器用な女子は
本当にイタイ。でもそんなイタさに垣間見える、
恋愛と大人の女のリアルがたまらなく良い。
親友にも話すのを躊躇するような、
痛々しい思い出も、
ユーミンになら話せそうに思えてしまう。
ユーミンの楽曲のそんなところが、
いつまでも多くの女性の人生の味方で
在り続けられる理由なんだろうな。

シャンパンを覗いたら、
そこには泡のダイヤモンドダスト。
あの海の底を思い出す。
冬は本物のダイヤモンドダストを彼と見ましたー
って曲じゃないんだ。
冬は一人で寂しく、冷えたシャンパンの中に、
あの真夏のダイヤモンドダストを見たんだ。

ツラい追い込み編

エアの切れた hum・・・ダイバーほど hum・・・
苦しいのよ今も

Diamond Dust 幾千の泡がきらめいて
昇り続けて消えぬまに
Diamond Dust ほおづえをついて透かしたら
なぜか映ってた あの海 あの空 あの島

エアの切れたダイバー、
つまり自分だけあの海を漂ってます。
うまいこと言うよね?
もうあの人とあの思い出に未練しかない。

ふと頬杖をついて透かしたら、
どこにもあの海、宇宙、島がある。

いや〜。すごくない?
全く本物のダイヤモンドダストを見てないのよ。

でもこの曲で初めて出会う、
真夏のダイヤモンドダストという概念でしかない
あの思い出の海を
みんな頭の中に同じように浮かべるわけで。

ヨッ!!!!
ユーミン!!!!!

って毎回のなるんですわ。
天才だなぁ。

とはいえこの曲調の爽やかさ。
これはもうホリデー感すごくてウッキウキ。
こんなに切ない曲なのに。
もう脳内でちょっと明るめに再生できてしまう
大切で痛々しい思い出が
泣くほどではないけどジリジリ心にしみて痛い。
そんなことが大人になるとたくさんある。
そういうずっと心に生き続ける
もう今ここにはない楽しさや喜びを
抱きながら今日も生きていくのです感が
ユーミンとなら分かち合えるんだよね。

歌詞も曲調も、
絶対に心を離さないユーミンを
これからも愛す!!!

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