横柄に振る舞えば何でも罷り通ると勘違いしてないか?

お疲れ様ですとバックヤードに入った瞬間、何やら様子がおかしいことに気づいた。バックヤードの入口付近でパートさんが一人の女性を取り囲んでいた。どうかしたんですか?と訊くと、パートさんの一人が「いやあ〇〇さん、あのね」と話してくれた。

内容は以下の通りだ。

あるお客さんが「不良品があったんで返品したいんです」とレジまでやってきた。店員がどの商品ですか?と訊ねると、客はこれですと足下を指さした。当然レジからは見えないので、レジの前まで回り込むと、ダンボールに大量に商品が入っていた。中身を確認するとほとんどその店の商品ではなかった。おそらく店員は「当店の商品ではないですよね」と確認したはずだ。しかし、客が「そんなはずはない!この店で買ったんだ!」と大声をあげ、そのあまりの剣幕に客の要求を受け入れてしまったそうだ。

この店員がパートさんに囲まれている女性である。よく見れば、泣きべそをかいている。40歳は超えているのに。

その客はその後何度か店を訪れ、上に書いたことと同様の要求をしてきた。僕自身も一度だけその客の相手をしたが、頭がおかしいとしか思わなかった。結果的に店長がその客と話をし、返金をすることはなかった。最後にその客は「引越しするから二度とこんな店は来ない!」と捨て台詞を吐いた。僕はずっとレジでにやにやしていた。

これは僕が大学生のときに100円均一のアルバイトで経験したことだ。

8ヶ月ほど前の話。

スマホの機能が落ちていたので、いい加減変えたいなあと思っていた。ただ、めんどくさがりな僕はなかなか行動に移そうとしなかったが、スマホに対するイライラが爆発し、携帯ショップに行った。

店内は受付カウンターが3つあり、どれもお客さんで埋まっていた。僕以外には60代の男性が待っていた。5分ほど経ったとき、その老人が「ちょっとまだなのか!いつまで待たせるんだ!ちょっと見てもらいたいだけなんだぞ!」と店員に詰め寄った。店員は「順番なので、もう少しだけお待ちください」と平謝りするしかなかった。結局、その老人は「たかがこれくらいのことでどんだけ待たせるんだ!もういい!」と帰っていった。確かに「ちょっとここの操作方法だけ教えて欲しい」という要望は理解できるし、機械に不慣れな老人であれば、なおさらだろう。順番を守るという生活をしていく上では当たり前のルールは物心つく頃には教えられるはずなのだが、老いとともに忘れてしまったのだろうか。

僕の前のお客さんが新しいスマホに変えて、笑顔で帰っていった。ようやく僕の順番が来た。僕はずっとお行儀よく待っていた。

「大変長らくお待たせしました」と僕が席に座るなり店員はそう言った。

「ああいうお客さんって多いんですか?」とさっきの老人を引き合いに出して訊いてみた。

「うーん、まあ、そうですねえ」と店員は言葉を濁すので、「あんな変なお客さんの相手するの大変でしょう?」と言うと、苦笑いを浮かべるだけだった。

どうしてあんなにも横柄な態度が取れるのか。
どうしてあんなにも他人に対して無茶苦茶な要求ができるのか。
他人を何だと思っているのだろう。
他人を自分の思い通りに動く駒だとでも思っているのか。

そうは言っても立場上、相手の無理な要求を受け入れなければならないときがある。

そんなときはまさしく相手の駒となって、心を無にして駒を演じる。

横柄な態度を取れば、どんな事でも罷り通ると思ってるのか?

おそらくこういう人間は死ぬまで気づかないだろうから、死ぬまで気づかないように、粛々と駒として動いてやるよ。

そう言えば、昨日の話。

至急と銘打ったメールを送り付けたことを思い出した。

詰まるところ、人はどいつもこいつも同じ穴のムジナ。

#日記 #雑記 #エッセイ

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