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「首‐KUBI‐」レビューを書きました。

やっとこさの思いで観てきました、北野武監督最新作「首」。
こんなに自由な映画久しぶりに観たっていうのが、正直な感想です。
新解釈された歴史映画だ、うーん・・・歴史映画?って言っていいのか(笑)
とにかく、面白かったの一言に尽きる。
北野武のやりたいことが全部つまったような濃密な2時間10分だった。
戦国武将の有り様や逸話なんていうのは、語り継がれていくうちに塗り替えられていくものなんだと思う。
そう考えると、どう解釈したって間違いではないんだと腑に落ちた。

僕は、これを戦国版アウトレイジと勝手に名付けた。
破天荒な織田信長公を演じるのは加瀬亮。
冷静な静かな役どころが多い印象の加瀬亮だったから、そのギャップに驚いた。
でも、もうすでにアウトレイジで狂喜に満ちた役してたんだと思い出した。
北野武と浅野忠信、大森南朋の掛け合いが戦慄のシーンから一気にコメディ色へと変化させるのである。
何度声を出して笑いそうになったか。北野ワールド全開だ。
対峙の末の成れの果てのカメラワークは座頭市を彷彿とさせ、あーこれだこれと納得できた。
男色を描いているあたりは大島渚監督の「御法度」のオマージュのようにも思えた。

天下を取るために命をかけ、首を斬り取り争う様子がとても異様なことなのに、それを面白可笑しく描けるのはきっと北野武監督だからできるのかもしれない。
ただ、どんなことにも首をかけていた時代がが恐ろしいと感じた時、一気に血の気が引いた。
2時間10分もあっという間に過ぎ、新しい解釈と受け取った本能寺の変も面白く読み取ることができた。多分、本当はこの作品で描かれているように、あっけらかんとしたものだったのかもしれない、いろんな憶測や想像ができるのが歴史の面白いところではないだろうか。
きっと、こうだったはず、多分真実は違うとか観る人によって解釈が違うのも、とても面白い。

北野武監督の映画はこれまで幾度か拝見してきたが、映画館で観るのはこの作品が初めてである。
自分も大人の仲間入りができたのか、北野武の映画を映画館で観ることができる時代に生きることができて幸せだ。

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