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責任領域の明確化の弊害とは?


データドリブンなマーケティングを実践する上で、従来の経験やマネジメントのアプローチとの違い、そして生じうる問題点について、より詳細に探ってみましょう。

まず、責任領域や責任分担の明確化に関する考え方が挙げられます。多くの企業では、個人や部門間の責任分担を明確にし、業務の効率化や問題の切り分けを図ることが重視されます。しかしながら、マーケティングのデジタル化において、過度な線引きが実際の業務や意思決定に支障をきたすことがあります。例えば、マーケティング部門と営業部門の間でのブツ切りが進み、互いの業務に関する建設的な議論が難しくなることがあります。さらに、同じバリューチェーン内で活動する部署間で数字の定義が異なる場合、議論の基盤であるデータの共通言語が欠如する可能性があります。

次に、責任の共有が健全な議論を促進する方法について考えます。部署間の責任範囲を明確にせず、両部署が責任を共有する領域を設け、定期的な議論の場を作ることが有効です。例えば、営業とマーケティングが共通の目標を持ち、業務の質や効果について共同で評価し合うことで、責任転嫁を防ぎ、より効果的な意思決定が可能になります。

このようなアプローチは人材紹介業界など、顧客体験のバリューチェーンに複数の部署が介在するような業界で有効です。例えば、マーケティング部門が求職者の登録数を最大化し、営業部門が入職者数を最大化することを目標するケースすが多いかもしれませんが、両者の関係は単純ではありません。入職者数は登録者数と転換率によって決まるため、登録者数最大化=入職者数最大化につながらないからです。このような場合、両部門が共通の目標を持ち、業務の効果を共同で評価することが重要です。

最後に、マーケティングの目標設定やKPI設定についても議論の余地があります。具体的な設定方法や目標の達成度合いに関する議論は、別の機会で詳細に取り上げる予定です。しかし、重要な点は、データドリブンなマーケティングを実践する際には、従来のマネジメントアプローチとの違いを理解し、部門間の連携や責任の共有を促進することが不可欠であるということです。

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