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#聴いてみた Chopin『バラード』全4曲🎹

NHKFM[「音楽の泉」のChopin作曲『バラード』全4曲を聞き逃し配信で聴いてみた。

曲目

「バラード 第1番 ト短調 作品23」
ショパン:作曲
(ピアノ)レイフ・オヴェ・アンスネス
(8分49秒)
<Sony Music Labels SICC 30491>

「バラード 第2番 ヘ長調 作品38」
ショパン:作曲
(ピアノ)レイフ・オヴェ・アンスネス
(6分57秒)
<Sony Music Labels SICC 30491>

「バラード 第3番 変イ長調 作品47」
ショパン:作曲
(ピアノ)レイフ・オヴェ・アンスネス
(7分31秒)
<Sony Music Labels SICC 30491>
「バラード 第4番 ヘ短調 作品52」
ショパン:作曲
(ピアノ)レイフ・オヴェ・アンスネス
(10分17秒)
<Sony Music Labels SICC 30491>

「マズルカ 嬰ヘ短調 作品59第3」
ショパン:作曲
(ピアノ)ジャン・マルク・ルイサダ
(3分42秒)
<ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル BVCC 10001-2>

「マズルカ 嬰ハ短調 作品63第3」
ショパン:作曲
(ピアノ)ジャン・マルク・ルイサダ
(2分33秒)
<ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル BVCC 10001-2>

曲解説(奥田佳道先生解説からの抜粋)

鍵盤の詩人ショパンのバラード全4曲をお送りします。 バラードは元々語り、話、詩の様式 を指す言葉だったようです。
イギリスの物語的な歌曲、中世以来の伝統をもつ歌のことでもある。
バラッドという言葉が使われた。又、踊るというラテン語やプロバンス語を語源とする14C15Cフランス歌曲のスタイルを指す言葉でもある。
14Cフランスの作曲家ギョームドマショーに沢山のバラードがある。シューベルトやシューマンにもバラード的な歌曲がある。又18C前半にイギリスで流行ったコミックオペラ、風刺やパロデイー満載の英語のオペラのことをバラッドオペラと呼んだ。
バラードは更に19C後半から20C初頭にかけてイギリス・アメリカで流行したポピュラー音楽を指す言葉でもある。バラードは今もポップスの世界で愛されている言葉ですね。

バラードと言えば鍵盤の詩人ショパン、19Cの器楽曲、特にピアノ音楽でお馴染みの言葉ですね。
曲の背景に詩や物語性があるもの、ないもの、その世界は深く多彩である。
ショパンのバラードは全部で4曲。いずれもショパンが母国ポーランドを離れてから書いた音楽である。1831年から1843年にかけて別々に書かれ出版された。ポーランドの愛国的な詩人アダム・ミツケーヴィチのバラッドからインスピレーションを得たのではないかと言われることがある。ショパンはミツケーヴィチの詩の愛読者だった。しかしショパンの音楽は標題音楽ではなく音楽のスタイルとしてはピアノソナタの第1楽章のスタイルを思わせる曲もある。ショパンは確かにミツケーヴィチの作品を愛読していたが、特定の詩や物語をピアノで表現したというよりは、ピアノによる物語詩という全く新しいジャンルがショパンによって作られたと言うべきでしょう。

バラード第1番は1831年に作曲が開始され、1836年に出版された。音楽評論家でもあったドイツの作曲家ロベルト・シューマンがショパンに向かって「あなたの全ての作品の中でこの曲が一番好きです」と語っているが、シューマンは同時に極めて優れているが独創的かと言えばそうでもないとも評している。尚、ショパンのバラードの背景に愛国的な詩があると言い、実際に詩と曲を関連付けて解釈したのがシューマンである。

ピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスは ショパンのバラードについてこう語っている。
「ショパンのバラードには私たちがショパンの音楽に求める全ての要素が含まれている。僅か10分前後の曲の中に盛り込まれたスケール豊かな物語性、まるで魔法のようである。 バラードはショパンが音楽を用いて規模の大きな物語を表現した具体的な作品だが、その物語の内容は誰にもわかりません。実際のところ、その物語の内容がどうなのかということは私には特別重要なことではない。何故かと言うと、 音楽自体がその和音、そのリズム全てが雄弁な言葉であるから。」

バラード第2番、曲は1840年に出版されショパンの音楽にかねてから関心を寄せていたシューマンに献呈された。シューマンは 前作ほど芸術的でないが、荒々しく独創的幻想的で知性的でもある、ショパンは「ミツケーヴィチの詩から霊感を受けこのバラードを作曲した」と語っていた、とシューマンは語っている。

バラード第3番、1841年夏に完成した。
シューマンはこう語っている。「ショパンの初期作品とは音楽の形式も性格も大きく異なっている。」と。そしてシューマンは又も独創的だという言葉を添えている。バラード第3番はショパンが公私ともに穏やかな日々を過ごしていた時に書かれた作品でそれが優美にして気高い 音楽に表れ、長調でのエンディングにつながっていると解釈する向きもある。一方、神秘的な要素を併せもつこのバラード第3番は作品はショパン自身が好んで弾いた音楽でもあった。そしてドビュッシーのピアノ曲にも影響を与えたかもしれません。

バラード第4番、1842年に完成。 ショパンは同時期にポロネーズ作品53「英雄」、スケルツォ第4番作品54を作曲している。 ピアニストのアンスネスはバラード第4番について「並外れて密度の高い書法で書かれたショパンの音楽の中で最も入り組んだ傑作である。どの和音も何か新しいものを運んでくる。」と語っている。
(ショパンのバラード、今朝はノルウエー出身のピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスが2018年にドイツのブレーメンで録音したデイスクでお送りします。)

Chopin『バラード』全曲を聴いてみて

レイフ・オヴェ・アンスネスの演奏は初めて聴いたが、非常に理知的だがそれだけに曲の『物語性』が際立ち、その余韻がいつまでも残る素晴らしい演奏だった。特に第4番の最後、鳥肌が立つほどハッとさせられた。
圧巻の一言🎹✨✨✨✨

 


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