#4 庭のシマリスとの四季
写真のシマリス、名前はチェリー
去年の春に生まれた女の子
ひまわりの種をいっぱいに詰め込んだほっぺたにまん丸の黒い瞳。
この愛くるしいといしか言いようがないリス達が、3月の雪解け頃から晩秋まで庭を走り回る。
1.野生動物がいる生活
娘が小さい時、夫の祖母から鳥の餌箱をもらった。
それ以来窓辺に来る鳥達を眺めることが多くなり、見たことがない鳥が来る度に感動したり、場所の取り合いをしてる姿や、お母さん鳥に口渡しでエサをもらってる雛を見たりするのが楽しみになった。
一応町の中心にある家だけど、日常茶飯事に見るウサギ、リスを筆頭に今まで目撃しただけでもキツネ、タヌキ、スカンク、鹿、七面鳥、鴨の親子、亀と、住宅街で育った私には「なんでも出てくる」という印象。
空を見上げればお馴染みの鳥から、小動物を狙うワシやタカが弧を描き、海からカモメも飛んで来て、季節のいい時は外を眺めているだけで十分満たされた気分になる。
2.チッピーとの出会い
そして去年、春になって冬籠りから出てきたシマリス達を見て思った。
エサをやったら食べに来るだろうか
様子を見がてらまずはピクニックテーブルの下にひまわりの種を入れた器を置いてみた。
するとある日、コトッという音がして急いで見にいくとシマリスが来ていた。
それから2週間後、初めて私の手から種を取るようになったリスにチッピーという名前を付けた。
3.子リス達の成長
毎日頻繁に通うようになったチッピーの様子を陰から見ていた子リスが何匹かいたそのうちの一匹がチェリーだった。
みんなよく似ているが、耳やしっぽの形に特徴があったり、どこから来るかで見分けたりする。
ゆうちゃんはチェリーの所から少し離れたラズベリーの木の下に巣穴があって2匹はお隣さん。
シマリスは群れでは暮らさず親離れするとそれぞれが独立、その後は親子でもきょうだいでも縄張りに侵入すれば徹底的に追い払う。
ご近所同士のチェリーとゆうちゃんも例外ではなく、毎日ご苦労さんなくらいの見張りと牽制、追いかけっこを繰り返している。
一番初めに来たチッピーが1ヶ月くらいで姿を見せなくなると、いつも隠れて遠くから見ていた子リス達が来るようになった。
体も少しずつ大きくなって、前よりも怖がらずだんだん手からも取るようになり、夏にはチッピーがしていたように膝にも飛び乗るようになっていた。
4.冬籠りを前に
そして冷たい秋風が吹くようになると、あんなに走り回っていたシマリス達が一匹また一匹と庭からいなくなる。
去年の秋は、公園のような広い町の墓地に落ちていた大量のドングリをバックを持っていって拾い集め、冬籠りの足しになればと庭の隅々に置いておいた。
そして今年もまた秋が深まってきた頃、墓地に行ってみたらドングリがない。
去年余りにも実をつけ過ぎたのだろうか。パラパラと落ちているだけだったので隣に続く森のリス達の分も足らないくらい。
そうかドングリないのかと歩いていたらヒッコリーの実が落ちていた。あれっと思って見上げると大きな木に大量の実。
こんなに沢山あるなら今年はヒッコリーを頂こうと、それからまた墓地に通うことになる。
敷地内には数えただけで大きなヒッコリーの木が5本あった。
私が頂くのはそのうちの一本、拾うのは町側に落ちているものだけにしたが、それでも毎日拾い切れない程無尽蔵に実が落ちていた。
ところがどんなに沢山拾ってきても、どこからともなくリス達がやって来て翌日にはきれいになくなっている。
最盛期には15kgのリュックを背負って帰ってきたけどさすがに重かったし、登山の練習でもしているのかという姿に自分でも笑ってしまった。
そしてある日そのことを母に話したら「リスのお母さんやね。」と言われてはたと我に返る。
人間がせっせと拾った木の実をリスが食べる...
どっちがリス?
という疑問はリス達の可愛さにすぐ掻き消され、それからもリスになり代わってほぼ毎日拾いに行ったので、お陰で多少は足腰が強くなったかもしれない。
5.また来年会おうね
11月に入っていよいよ日没も速くなり今年最初の霜も降りた。
毎日夕方になると
「もう明日からは出てこないかもしれない。」
というちょっと切ない気持ちで窓の外を眺めるのに、去年なら10月の初旬には冬籠りしていたシマリス達を今年はいまだに見かける。
暗くなってもまだ公園で遊んでいる子供達のようで、こんなに遅くまで走り回っていていいのだろうかとちょっと心配になる。
今年の春、冬籠りから出てきたばかりのチェリーに会ったのは3月の中旬。
落ち葉と雪が降り積もる、庭の巣穴で眠っているリス達のことを想いながら、家族が外を眺める冬はすぐそこに。
今年も幸せな時間をありがとう
また来年
お互い元気で会いたいね。
最後まで読んでくださり
ありがとうございました
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