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#14 アメリカのケーキに想う
このところ毎日冬らしく曇りがちのグレーな日が続く。しばらく日差しらしい日差しを見ていないところへ午後からまた雪と聞いて急いでいつものスーパーマーケットへ出掛けた。
10時台に到着したが、みんな同じことを考えているからきっともう混んでいるんだろうと車を止めて足早に店内へ。
大きなカートをゴロゴロ押して、お決まりの順路通りまずは左方向に。
そして1番右端の野菜エリアまで来たら、レジに向かう最終コーナーで目につくのがベーカリーにあるこれ。
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食品サンプルか、娘が小さい頃持っていたとても良くできたおもちゃの消しゴムがこんな感じだった。
食べ物に対し、原色を使うことに憂いや恐れがきれいサッパリない
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以前はこのショーケースが目に入ると、見てはいけないものを見てしまった気がしていたし、買っている人がいると
「正気か…」
と思っていた。
でも滞在が長くなると拒否反応が薄れてきて、大抵カウンターには誰もいないので、スピードを落として通るのが今はちょっとした楽しみになっている。
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このカップケーキ、どれか一つと言われたら違う意味で迷う。
包み紙ごとチョコレートが乗っているけどこれは至って些細なこと。
夏になるとむき出しのサングラスがホールケーキの飾りに直置きされる夏バージョンに比べればちょろい。
さすがにそれを買っている人を見たことはないし、本当にあれが売れるのか甚だ疑問だけど、今はバレンタインデーが近いから真っ赤のハート
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それにしても、どうしてこんなに色彩感覚が違うのだろう。
こうなる理由には複雑なものがあると思うが、その一つとして思い浮かぶのは普段からスポーツのチームや学校ごと、祝日にもそれぞれはっきりした色が大量に使われているのが目に付く。
娘の学校は競技用ユニフォームやグッズなどは全てオレンジで、有名なハーバード大学はエンジ色とか、クリスマスはもちろん赤と緑、独立記念日は赤青白、セントパトリックデーは緑で緑に着色されたビールで乾杯(なんで…)
それぞれのイベントで人々はその色の服を着るか小物を身につけるか、はたまた全身その色になっていたりするし、細かいものから街の装飾まで、一年を通して日常的に単色ではっきりした色に出会うことがとても多い。
いつも色に溢れているから地味だと目立たないどころか、服なら黒などの単色は別として、本当に地味だとかえって目立つという憂き目にあうような気さえする。
日本で生まれ、中年近くまで日本にいた私もじわじわと色の飽和状態に慣らされているが、まだ食べたいという心境には至らない。
お店だけではなく、ファミリー恒例お誕生会で必ず登場する手作りケーキにもしっかり色が付いていて、夫の家族で代々受け継がれているレシピによる、厚いバタークリームで固められたケーキはみんな大好きパーティーの華。
記念写真を撮るときある意味バエるのだが、やはり食べ物認定はし難い。
一度だけ、とても淡い黄色と緑、ピンクで早春をイメージしたケーキが出てきたときは「これよ、これ!」と思ったがそれっきりだった。
こちらの家族の中で私ともう一人アメリカ人でない人がいるのだが、ずっと彼は私サイドだと思っていたらあるお誕生会で「このクリームのところがベストだよね!」と言っているのを聞いて孤立無援だと気がついた。
お前もか…w
まだ若い頃、日本滞在が長くなっていた当時彼氏だった夫にアメリカの食べ物の色を見るにつけ、実際どう思っているのか聞いてみたことがあった。
その返事は
「おいしそう〜(なんならハート)」
だったから、人格を疑うくらい引いたのにその後結婚してしまった。
どんなに長く日本にいて日本食が好きになろうが、小さい頃から食べ親しんだものはおいしいのだ…とそのとき海外経験のない私はつくづく思ったが、それはそっくりそのまま今の自分に当てはまる。
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アメリカに来る前、ピザやポテトチップス、パイなどが好きではなかったのに暮らしているうちに食べるようになり、美味しいなと思うようになってもやっぱり日本のものが一番好きなのだ。
帰省して地元のケーキ屋さんに行くとショーケースの前でうっとりしてしまうが、夫や娘は美味しそうとは思ってもそこ止まり。
私がアメリカのドーナッツ屋さんで何に興奮していいのかわからないのと一緒。
でもこの違いのお陰であっちやこっちでいろんな感情が生まれ、面白おかしく生きていく。
真っ青や真っ赤なケーキ、いいでしょう!
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最後まで読んで下さり
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