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第8話「俺ちゃんひよこ組所属の巻」

「うわぁあああんめぐみちゃっうっうっ」
「おかえりー」
「もっと、こうあるだろ、心配しろよ」
「情緒不安定乙」
「ねー聞いて聞いてー」
「・・・・・」
「聞いてってばー」
「なにー!?」
「俺ちゃんひよこ組だったの」
「なかなか珍しいわね」
「でしょー?褒めて褒めて、いや、やだやだ死にたくない俺ちゃん死にたくない!」
「転属したいの?」
「できるの?」
「転属は各クランの相性で所属できないところがあって、その中でもひよこ組の勇者は相性不利な敵が多くないから他のクランに転属しやすい分類ね、」
「じゃっ!転属すりゅ!」
「でも転属は最低でも3年在籍してからじゃないとできないし、そもそも受理される可能性は低いかな」
「むりぃむりぃ3年?石の上にも三年って言われるほどだお?各異世界の英雄が雑兵になるこの世界で俺ちゃん生きれる自信ない、自死して適当な異世界でまたやり直す、いやそれしかない!」
「自死って、自死ってほど精神的にも物理的にもやわじゃないでしょアンタ」
「確かに今の俺ちゃんは強すぎるから自死しようにも死ねない体だとは思う、でも、ならめぐみんが殺してよ!」
「この世界だと自殺幇助も自殺も冗談抜きで地獄送りなのよ、しかも神の加護でこの世界に転移してきた勇者達は頑丈だから殺すこと自体困難ね」
「ほへー説明乙」
「だからある意味この世界で使い倒されるまでは他の世界に逃げるのは困難ね、新人類との戦時下だし」
「りょうかいした!」
(案外聞き分けいいわね、こいつ)
「…あのぅちょっと頼みがあるんだけどぉ?」
「めんどくさくないならいいわよ」
「怖いからひよこ組の事務所まで一緒に来てくれない?」
「子供かよっ!まぁゴミだらけの私の部屋を片付けて家事全般を引き受けてくれるならいいわ」
「りょ!」
「ノリ軽いわね、ノリ軽」
「それ略せてないよ」
「「わはは」」

▽▽▽

「へーここがひよこ組の事務所、初めて来たわ」
「それはめぐみんの交流幅が狭いからなのでは?wデュフ」
「片腕を差し出せ」
「ほへ?」
「だせ」
「はい」

バキバキバキバキ、めぐみの片手からだされるとてつもない握力で豆腐の様にみつるの腕を折っていく

「いたいたいたい、????いや熱い熱い熱い熱い!!!握力どうなってんねん!」
「しくしくしく( ; ; )みつるが酷いこと言うからぁ」
「人の片腕折っていて被害者ヅラすんなよ!」

みつるは自己回復のみでみるみる片腕が治っていく

「自己回復には元々自信あるけど、神様の加護すげえな」
「まっそれも今の環境だと焼石に水だけどね」
「うぐっ緊張して俺ちゃん胃が痛い、事務所に入れないよお( ; ; )」
「アンタそんな柄でもないでしょう、それ行くわよ」

めぐみに手を引かれ半ば引き摺られていく

「ピンポーン!お邪魔しまーす!」
「ピンポーンって普通の人は口で言わないよ…」

『合言葉をお願いします』

「みつる合言葉、聞かれてるわよ?」
「えっしらないしらない」
「結局ガイダンスもまともに聞いてなくて、合言葉聞き逃したんじゃないの?」
「うぐ、うっうっ」
「チッなんでもいいから適当に言っておきなさいよ」
「あーえーえ?うーんうわぁ」
『合言葉大喜利から逃げんな』
「え?あー!やっ!開けゴマ!」
「・・・・・」
「強制スベり大喜利やめてください、マジで俺を殺してくれ」

『フッwまぁいいでしょ、どうぞお入りください』
「ノリ軽」
「それ略せてないし、流行んないし流行らせねぇからな」

▽▽▽

ひよこ組の事務所に入ると丁寧にもひよこ組のクランマスターが出迎えてくれた

「君がみつる君だね、話は聞いてるよ、先程は事務員が失礼をおかけして申し訳ない」

クランマスターは病みおじと言う言葉が相応しい感じの人で、無精髭と目の下に深刻な隈ができている

「ゴルゴ目w」
「あぁ!すいませんうちの駄娘が失礼な事を!」
「w大丈夫ですよ、まぁそんなに長くないですけど大まかな説明等あるので席にお掛けください」

議事会の議員が座ってそうなふかふかの椅子に2人が腰掛ける

「みつる様とめぐみ様、今日はお忙しい中来てくださりありがとうございます」
「いえいえ」
「お手元にある紙が当クランに所属していただく際の注意事項となっておりますので一度最後まで目を通していただいた後、サインをしてください」
「あれなんで私の分もあるんですか?」
「めぐみさんはレベル1になった事を元いたクランのクランマスターからお聞きし、当クランに転属希望とお聞きしたのですが?」
「えぇ!?私そんなの聞いてないです!」
「あっ失礼致しました、転属届けまで受理されていただいてたので思わぬ勘違いをしてしまいました、そちらの注意事項の用紙をお取下げさせてもらいます」
「あーいや大丈夫です大丈夫です」
「?」
「多分うちの性悪クランマスターが多分勝手にした事なので、あとわたしもあのクランに思い入れないのでこの際ひよこ組に所属したいです、いや所属させてください」
「では今一度、注意事項に目を通してもらって、確認のサインをお願いします」

そうこうしている内にみつるが注意事項を読み終えサインを書いた
めぐたんと一緒だよ!良かったね!みつる!

「読み終わりましたー、紙お願いします」
「ありがとうございます、ではこちらの紙は当クランで厳重に保管させていただきます、転属や除籍になった際にこちらで処分させていただく手筈となっておりますのでご理解の程よろしくお願いします」
「おけまるラケット」
「では当クランの説明と雑談がてら面接ではないですが、みつる様のお人柄を知るためにご質問などをさせていただきます」
「ほい、あっ、さんつけないでもおけまるラケット」
「おけまるラケットですね」
(おけまるラケットってなんだよ)

「では、当クランでは主にレベルを初期化する能力を持つ敵との戦いを担っており、みつる様などのレベルの概念をもたない勇者が主に所属しています、ですので今回めぐみ様がレベル1となりましたのでグリフンドールの所属が決まったと言うわけです。」
「あの質問いいですか?」
「はい、どうぞ」
「一応クランハウス兼事務所ぽいけど他の勇者達はいないの?」
「情報統制で他の勇者の接触は必要以上に取らないようにと取り決められています、えーこれには理由がありまして、記憶を読み取れる能力を持つ敵がいまして、相手の敵の集団に紛れているので、相対するのは基本的に戦闘中になります、そうなりますと厳しい戦いのなかで相対呪文や精神抵抗力、記憶を覗き見られるのを防ぐ術を持っていても戦闘中はそれを防ぐほど余裕がないことから勇者との接触を出来るだけ少なくして情報漏洩を防ぐため勇者は事務所には用がない限り寄らないです、この世界にお呼ばれされている勇者様達は1人1人が強力でユニークな力を持っていますので致し方なくその様な取り決めとなっております、あとそう言う事ですので、お知り合いなった方にその人のスキル等を聞くことなどの行為はご法度となっておりますので気をつけて下さい」
「おっけー牧場!」
「あとですね、そう言う関係でチームメンバーは基本的にはランダムとなっております、出陣される際に隠れ家の正門にクランごとの受付がありますのでそちらでパーティ編成が行われたのちに出陣となります、チームメンバーの選出基準についてはお答えできないのでそこはご了承ください」
「了解しますた」
「ところでみつる様はジョブもお持ちでないと言う事でしたが前世ではどの様な戦闘スタイルが好みでしたか?」
「ステゴロ」
「了解しました、こちらで勝手ながらステゴロに合わせた装備を見繕いますので出撃される際に受付でお受け取り下さい、ご希望であれば、ジョブ転職所でジョブを付与することも可能ですが、」
「みつるそれはやめといたほうが良い」
「めぐるんなんでぇ!俺は拳闘王になるっ!」
「そもそもそんな上位のジョブには最初からつけないし、ジョブの育成がキツすぎるからみつるには向いてないよ、私はお勧めしない、あそこは敵に自分のジョブを封印されてどうしようもない時に行く場所、あと値段もばかにならない」
「カッコいいスキルとか憧れあるのにぃうもう」
「了解しました、めぐる様も当クランの所属誠にありがとうございます、本日は以上となります、出陣してから1ヶ月は敵地に赴いてもらう予定ですので、ある程度の覚悟はしておいてください、報酬等も正門の窓口からの受け取りとなりますので当クランの事務所に寄ることは中々ないと思いますが事務局総出で勇者様達をバックアップしていくつもりなので、今後ともよろしくお願いします、今日はありがとうございました」
「いえいえこちらこそありがとうございました」
「ありがとうございました」

そしてめぐるとみつるをクランマスターが丁寧に送り出してくれた

「うわぁ緊張した!俺変なとことかなかったよね?どうしよううわぁやらかした」
「ヒスるな、お前は元々変だろう」
「WTF!!ブーメランも大概にしとけよ、め愚みん」
「まぁ出撃はあっちで必要な日用品とか揃えた後でいいし、私からも一応この世界の状況について教えたりするから、それからでいいわね」
「先生ぇい無視して強がるのは違うと思いまーす、お前も変人である事を認めたほうが良い」
「どこ折られたいの」
「あっいやっ」
「アンタ折られたくてわざとやってる?w」
「くそーバレたしまったか、しまったしまったw」
「「わはは」」

▽▽▽

そうこうしてる内にめぐるの家へ着いた、するとみつるは見覚えのある星形の頭から薔薇が一本生えてる奇妙な生き物を見つける

「ああああ!あの時の薔薇野郎!」
「???おお相変わらず、残念禿げじゃないか、付きまとわらないでもらっていいかね?」
「あれ薔薇男爵じゃん今帰り?」
「めぐみさんご機嫌麗しゅうございます、今日はたまたま忙しくなくてね早く帰れたんだよね」
「えっ何、めぐちゃんの知り合い?」
「みつるこそなんで知ってるの?知り合いってかお隣さんだよ」
「は?」
「君はなんだねさっきからめぐみさんに軽々しい態度をとって、禿げが!」
「あっ薔薇男爵、今日からこいつうちの家に泊まるからよろしく頼むね」
「嘘っ?!まぁめぐみさんの頼みなら、まぁ」
「うわぁだる俺ちゃんこいつが隣とかまじでない」
「(T ^ T)キラキラ☆ミ」
「やめなさい、薔薇男爵はこうみえて繊細なんだからイジメないで、最近忙しいのも相まって精神にきてるだろうし」
「めぐみさんはいつも優しいな」
「こいつが優しい?んなわきゃなーいないない、こいつの握力ゴリラ神だぜ?」
「(+´皿`)キラッ☆ミめぐみさんを侮辱するとは!!許せぬぞ!やるかぁッ?!この腐れ禿げ!」
「いいぜ俺の腐った頭皮嗅がせてやるよ!」
「フザケンナッこのっ!」
「2人とも落ち着いて!」
「・・・・・・・」
「めぐちゃんこいつがねイジメてきてね、うっうっ」
「まってこいつの方が色々失礼で、まじ俺のせいじゃない、うっうっ」

『ポカァっ!!』くるみサイズの脳が収まってる様な頭蓋骨の音が聞こえた後、古のアニメの如く膨れ上がった、たんこぶが2人から飛び出る

「いいかげんにしなさい!」
「すんませーん」
「申し訳ない」
「迷惑かけると思うけど薔薇男爵これからもよろしくね」
「いえいえこちらこそめぐみさんの頼みなら全然ほんといつでも」
「ちっ頭生花野郎」
「あっ?(+´皿`)キラッ☆ミなんだとこの野郎」
「はぁぁ」

そう大きくため息をつくめぐみであった。

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