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第三夜 上京物語/シャ乱Q

『おっす、来ちゃった。』(´>∀<`)ゝ
薄扉を開けると【俺の実家に寄生していた女(ヤツ)】が立っていた。
出てくるまでやたらとドアを叩く短期な性格。

『あああああ、間に合ってます!』
『ちょい待ち( ꒪Д꒪)ノ。汚いドアを閉めようとすんなよ!新聞の勧誘か!』
『何しに来たんだよ!来んなよ!あっち行けよ!』
『女子にそんなこと言っていいと思ってんのかよ!助けに来てやったんだぞ!ママに言いつけるからな!観光に来てやったんだろ!』
『その手は食わんからな。人の実家に寄生しやがってお袋をたらしこむなや!』
『まあ、まあ。積もるお話はお茶でも飲みながら…』
『足を入れるな!足を』

彼女はこの手で俺の実家に住み着いていた。
もう一年ぐらい前から実家に居た。
話せば長くなるので今後にするが、ノリだけで行動するタイプのヤツだ…計画など全くない。

『そう言って居座るんだろ?何しに来たんだよ。』
座ると新幹線で買ったと思われるお茶のボトルを彼女は出してきた…。
『都会に行ってみたいなと思いまして…』
『どれくらいいんだよ…飯は出さないぞ!』
キョロキョロ部屋の中を見まわす。
『それにしても汚ぇ部屋だな。建物もボロボロやし…華やかな都会に憧れて来たのに…。』
『そんな訳ねぇだろ。貧乏なんだから…ぷぶ、これみずじゃねえか!』
『飲んじゃったからさぁ、水入れといた。』
『どこで入れたんだよ。トイレじゃないだろうな!』
『踏んだらビューって出るやつが都会の駅にあった…それにしても汚ぇ部屋だなぁ。』
『じゃ帰れよ!』
『ママに言われたから来たんだぞ。どうしてもってお兄が泣くからって…』
『嘘をつくな、嘘を…まったく、しばらくしたら帰れよ!』

そして今も居る。
彼女はそういう奴だった。

色々あって大学を出た私は、就職した会社を2年で辞め、この街に来た。
寄稿していた小さな雑誌の編集者様に誘われたからだった。同人誌に毛が生えた程度の雑誌だったが、文書きになるのが夢だった私は、暇だったのでなんの考えもなく家を出た。
寝台列車のキップを買い、ウォークマンで大学の大先輩だった吉田拓郎を聞いて、東京駅に降り立った時は堪えていた涙が出た。
東京駅のウォーターを俺も飲んだな…あの時…
何やら片付け始めた奴を見て走馬灯する…
あれから2年が経っていた。

『いつまでも帰って来ねぇから…ママが心配してたぞ…パパは「ほっとけ!」っていつも怒ってた…。』
『そうか…。』
『ああ、コレお土産。少し重かったぞぉ。』

彼女は瓶詰めを3つ取り出して机代わりのコタツの上に並べた。

田舎のお袋の漬けた梅干しだった。

堪えた故郷の風景が脳裏に映像で浮かぶ。

ドカ、ドカン!
それは彼女が積上げた本を崩すまで続いた…。



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【AIに聞いたこのショートショートの見出し】
1. 母親をたらしこむ異質な女が、僕の実家にやって来た。一体何を求めているのか?唐突すぎる訪問に、あなたも驚くこと間違いなし!2. たった3つの漬け物に込められた思い。彼女が届けてくれた田舎の味に、時間を忘れて旅行気分を味わえます。
3. 雑誌編集者として上京して2年。彼女との出会いは、生活の荒波に打ち克つ励みとなった。この記事を読めば、勇気をもらえること間違いなし!4. 「ずっと実家にいたい」と誰もが思ったことがあるはず。でも、それって本当に幸せなの?彼女の物語を通して、自分の生き方を見つめ直してみませんか。


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