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小説 (改訂連載版) ひよこ 【昭和家族】

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連載作のひよこ改訂版です。 4話からがネット公開初出し(同人作)です。 全話無料公開です。 未完の作でしたので続きも書く予定ですが、 遅筆で飽きっぽいのでテンションが 続くかは神…
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連載作小説『ひよこ~昭和家族~』第22話 真実 【クリアーゲーム編7完結】

あの時からしばらくして隣中トリオはその後たまに【ビッグマート】で会うとコンビになっていた。ヨシの事を聞くとご両親が離婚され母とヨシは家を出て転校したという。妹さんは身体が不自由な為、あの家に残されて兄妹は離れ離れになったと話に聞いた。この1日は私に残された幻視のように今も記憶に刻まれている。 物語りに話を戻します。 『お紅茶でいいかしら。それともコーヒーにします?兄はコーヒーが嫌いですけど…。』 ひとつ違いだというヨシの妹が僕に聞いた…。 華やかなティーセットが並んでいた。

連載作小説『ひよこ~昭和家族~』 第21話 妹 【クリアーゲーム編6】

※休載期間を頂きました。話を忘れるほどお休みしました。申し訳ありません。何を書いても言い訳ですのでꉂ🤣𐤔早速続きを…(*・ω・)*_ _)ペコリ※ 奇妙な闘争から逃げ出した、僕とヨシはヨシの提案で少し離れた駄菓子屋に歩いて向かった。 『あっちにもゲーム機があるんだぜ。』 隣中のヨシは興奮気味に語った。 僕らは団体戦から逃げ出しており、まるで逃走兵のような心境でビクビクしていたが、あまり深く知らない相手がいる手前強がっていた。 2人の唯一の繋がりである『ゲーム機』というワー

小説 ひよこ第20話~クリアーゲーム編5~抗争と若ザル

【ビッグマート】の縄張り権を巡る2つの中学校の一部上級生男子生徒の対立は燻り続けていた。 自転車を倒された・イタズラされたなどから始まり、果てはカツアゲされた絡まれたなど未確認な不安情報がお互いの中学校の口コミ噂で流れ始めていた。被害を訴える生徒も出始めた。 遂に小競り合いの頂点に達し、学区内をたてに独占権を主張する隣中上級生団体は、我が中上級生平和買物活動維持団体首脳部に対し宣戦を布告した。 上級生選抜による近くの河川敷で行われた第一次抗争は結果的には引き分け痛み分けだ

小説 ひよこ第19話~クリアーゲーム編4~犯罪者の言い訳

1ゲーム100円資金難に喘ぐ僕とマッセ(栗)はソレでも【ビッグマート】に暇を見つけては通っていた。 誰かのプレイを見ているだけで楽しく、ゲームと云う誕生しつつあった娯楽は、ゲーム機の周りに【通う中学校の垣根】を超えた友情をも育みつつあった。 本来子供達には心の国境はなく、幼い頃は公園で出会った見知らぬ子と砂場などでよく遊んだ。 それが成長するに従って「所属する集団」を認識するに至り「常識としての他人」を意識してしまう。 中学校に入学したばかりな僕らはまだ小学生的気質を持ってお

小説 ひよこ第18話~クリアーゲーム編3~趣味革命と田舎者

パン屋の経営者が戯れに置いたアーケードゲーム機(商業用ゲーム機)は、 地域の田舎の一部の少年達に革新と革命をもたらした。 その頃の少年達にとってアーケードゲーム機とは、遊園地やデパートの屋上・観光地などで、 戯れに保護者の許可で行う単発な遊びで、 継続性を持っていなかった。 日々、何か面白い出来事を探している、 少年達の間を噂は駆けめぐって行く。 まず、おこったのは【少年ゲーム機破産問題】である。1プレイに100円玉を投入する。 ゲームなど余り経験のない田舎少年は、

小説 ひよこ第17話~クリアーゲーム編2~コングと攫われた花

「今日はビッグマートにマッセと行く。」 と母に報告に行くと、土曜日の学校半ドンの昼食のあと、台所で活花の準備をしていた母は頷いた。 最近、母は趣味で知り合いのご婦人達とウチで生け花教室らしき事をしていて、先生役をしていた。 「ピンポン。」と音がしたので、 約束のマッセが来たと思い、迎えに出てみると、 薫子お姉さんだった。 相変わらずお美しい。 教室が行われる客間に案内すると、電器屋の若奥様2人とか近所の大下さんの奥さんなどが集まってワイワイしていた。ご婦人達は僕を見て、姦し

小説 ひよこ第16話~クリアーゲーム編1~ドンキー

「やっぱウインカーがカッコイイよな。」 友達のマッセ(栗)の真新しい自転車にはウインカーが搭載されている。僕のには付いてない。 自転車にウインカーは要らないと思うけど、僕も付ければ良かったと後悔した。 僕らはこの春、中学生になった。 「タカヤンも付ければ良かったじゃん。」 意味もなくウインカーを右左とスイッチを捻り付けたり消したりしながら自転車を漕いでいた友達が言った。 僕らは少数派だ。 僕らが卒業した小学校は1学年に3クラスしかない。入学した中学校は12クラス合って

小説 ひよこ第15話~初恋暴走編8番外編~シュガー&ソルト

蝶ネクタイは子供っぽくて嫌だ。 僕は母に言った。 「子供だけどな。」 折れた右手を擦りながら親父が呟いた。 キッと睨みながら、 「ごめんね。それしかないの。お父さんの白いネクタイでもいいかしら。」 母が明らかに大き過ぎる白いネクタイを差し出して確かめる為に渡してきた。 僕ら一家は【薫子お姉さんの結婚式】に招待された。招待状が来た時、母は訝しがった。 「結婚式に招待されるほど親しかったっけ?。」 「きっとワシの人徳だろう。薫子ちゃんの爺さんはワシの隣のベッドだったからな。

小説 ひよこ第14話~初恋暴走編7~幸せの白い鳩

薫子お姉さんは色々な事を抱え込んでいた。 1 事務職から容姿と真面目で温厚な人柄を買われ秘書に欲しいと地域重役の目に留まり、秘書科に配属となり受付で現在修行中。 2 昨年仕事を持つ両親(高校の先生)に代わり育ててくれたお祖母様が亡くなったこと 3 頼りにしていたシュガー&ソルトが案外、封建的で自己保身に走った事 4 お祖父様の病気が再発した事 などなどである。 僕はまだ大人の初歩なので(自己的には子供ではない。)話しを聞くぐらいしか出来ないが、薫子お姉さんは事情を吐

小説 ひよこ第13話~初恋暴走編6~各心

企画部のドアを叩く。 返事がない。 学校の職員室と同じシステムだな。と、 「失礼します。」とドアを開けて入った。 見たことの無い子供を気が付けばチラチラッと皆見るが興味無いように大人達はする。中も職員室と同じシステムだな。「すいませーん。」 「はい、何でしょう?!。」 ドアに一番近い女の人が来た。 「測量科のサトウさんはいますか?。」 「どういったご用件でしょうか?。」 子供相手にビジネストークしてくる。出来る若い先生タイプだな。解ってる、経験済みだ。 「ちょっと会ってから

小説 ひよこ第12話~初恋暴走編5~潜入

「師匠も結婚したので僕も結婚しようと思います。」電器店裏のただの倉庫、師匠工房に来ている。師匠お手製の小さなキッチンもある。 「残念ながら法律で無理だな。」 修理した引き取り冷蔵庫から、コーラを取り出しながらニヤケ顔の師匠が鼻で笑う。 ちょっと自慢気で軽くムカつく。最近師匠は、デレてたるんでいる。ラジコン大会の成績も奮わないと聴いていた。 師に出されたコーラを飲んで平常心を取り戻し、相談に来たことを思い出した。 「結婚の約束をしてしまいました。では今後どうすれば良いです

小説 ひよこ第11話~初恋暴走編4~曇り空とダンス

カオルコお姉さんは病院の屋上から、風景を眺めていた。突然の風に髪が揺れる。 「ほら、見て。あそこが私の会社なの。」 風で顔に掛かった髪を気にもせず指差した。 「ここから見るとあんなにちっぽけ…あの中で毎日悩んだり泣いたりしながら働いてるの。…… 滑稽ね。……人なんて本当に滑稽……。」 その日はいつもの薫子お姉さんとは違っていた。 弾ける笑顔で咲く華ではなく、雨に濡れて今にも倒れそうな笑顔で咲く。 「人はなぜ生きるのかしら。」 その日のくもり空を遠くに見た。 黒ずんだ

小説 ひよこ第10話~初恋暴走編3~屋上の風景

翌日も学校から帰宅後父の病院に向かう。 母に親父の病院に行くと告げて、 何か持っていく物があるか聞くと、 目が点になった。 病院の階段を一段飛ばしで登り、父の病室へ向かう。 昭和は警備などゆるゆるなので病室まで直通である。なにせ漫画のタンコ本に作者の住所が堂々と書かれている時代だった。よく漫画家の先生は無事だったものだと今なら思う。アパート名まで書いてあった。きっと色々あったんだろうなと今の僕は思ったりする。 「お父さん、元気?。」ベットで週刊誌を読んでいた父に声を掛

小説 ひよこ第9話~(改題)初恋暴走編2~出会い

続親父の病室から。 父はうちでの評価は低いがコミュニケーションにかけては学ぶモノがあると僕は思っていた。 数々の呑み歩き歴。 只酒の飲み会には全て参加する貪欲さ行動力。 セールス経験により磨かれた昭和の飲みニケーションスキル。 キャバレーで培われた(本人談)ネジ込み懐に入り込む話術。 人の感情に左右されない鈍感さ故のウケを狙っていく話題選び。 頑固な人もいる大工・建築職人を束ねていく懐の深さと経験と挫折のドラマ 母が結婚以来、数々の苦行を強いられたため不等に評価を下げられ