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絵になる美しい街並みを創造する為の粉本 /伊根(いね)/京都府与謝郡伊根町/船屋と母屋、土蔵等で構成されるの街並み


 京都の北に位置する日本三景の一つ、天橋立を横目に見ながら、丹後半島の海辺に沿って敷設されている178号線を北に、約40分程、車で走ると伊根町の漁港らしき所に着く。その道路沿いの景観は一見何処にでもありそうな漁村だが、車を降りて漁業関連施設の脇をすり抜けて、伊根湾に突き出た小さな船着き場の先に出てから周りを見渡せば、カモメが飛び交う穏やかな海面の向こう岸に、将棋の駒を横一列に立てて連ねたような景観に巡り会える。
 
 この連なりは伊根湾沿い立ち並ぶ舟屋を有する民家の集合体で、伝統的建造物群保存地区に指定されている希有の景観。

 その形態は海岸線に沿って船を海から直に出し入れするガレージのような舟屋とその裏側の道路を隔て建ち並ぶ母屋や土蔵等がワンセットになっており、それらが平行に連結、街並みを形成している。
 
 この舟屋は切妻型、桟瓦葺きで、元々木製の船や網を乾燥させるための建物だったことから、通風が確保できるよう壁はほとんど無かったそうだが、現在では二階を部屋に改造したり、一階を船の置き場だけでなく、漁具置き場や物干し場として使っているケースも見られ、往時には238軒もあったらしい。

★景観形成元素
#歴史 (保存修復継承)、#気候風土(舟屋、地産材料利用)、#構図構成(同類連続、調和と若干の変化、#個性(舟屋の多用)



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