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6. 小説MCH - フレアと父「炎の村」と「水の村」(修正ver.3 2024/1/6)

「そんなことよりさ、早く今回の冒険の話を聞かせてよ!今回は一体どんなところに行ってきたの?」

 フレアはまさにその話を聞くために、ここまで駆け降りてきたことを改めて思い出すと、冒頭の第一声と同じ、この質問を繰り返した。

「今回はな、"水の村" まで行ってきたんだ」

 父は、玄関脇の壁掛けに、脱ぎ途中だったローブを無造作に引っ掛けると、ゆっくりフレアに向かってそう応えた。

 ——— 水の村
 それは、フレア達が住む「炎の村」のとなり村の名前だった。

 まあ、となり村といっても、実際には物理的に隣接していたわけではなく、そこに行くには、大河をいくつも越えていかなきゃ辿り着くことはできない。

 そこは、この屈強なフレアの父をもってしても、行き来するだけで、実際に三日はかかってしまうほどの場所にあった。

 普通の大人なら、たどり着くだけでも数ヶ月はかかるような場所で、まず、そもそも「水の村に行こう」と考えることすら普通はしない。そんな場所にある村だ。

 当然フレアは、これまでその名前を耳にしたことはあったが、いままで一度も行ったことがない場所だった。


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