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8. 小説MCH - フレアと父「真の敵は自分自身」(修正ver5 2024/1/6)

「ボクにしかできない役割?そんなことはもう決まっているよ!」

 勢いよくそう口火を切ると、フレアは熱のこもった口ぶりでこう続けた。

「ボクも大きくなったらさ、父ちゃんみたいに、めちゃくちゃ強い "炎のヒーロー" になってさ!
そして、あの "ヴィランズ" たちを、たくさんやっつけてやるんだ!」

 この幼い妄想ヒーローは、まさに今、目の前の父の姿に想いを重ねて、そこに未来の自分を思い浮かべている真っ最中のようである。

 じっと遠くを見つめるその瞳には、どうやら将来の屈強なヒーロー像が、しっかりと映し出されているのがよくわかる。

  —— 大きくなったら、ボクはあの "ヴィランズ" たちを倒すんだ!

このフレアの言葉には、子供ながらの負けん気と、無垢な正義感を織り交ぜて、

  —— 自分の正義を信じて疑わない

 そんな彼の、幼くもゆるぎない信念がしっかりとにじみ出ていた。フレアのその熱い想いがこの部屋中に満ちていく。

「...」

 どの時代でも、幼い我が子が、未来を見据えて、力強く成長していく。そんな姿を目の当たりにして、喜ばない親はいないだろう。

 フレアの父も、もちろんその例外ではない。彼もその瞬間を心地よい気持ちで眺めていた。

 ただその一方で、

  —— しっかり時間をかけて導いてあげたいな

 と、父はそんな風にも感じるのであった。

 幼い純粋さからくる「まっすぐな正義感」というものは、時に自分を律する力強さを持ちつつも、もしそれが行き過ぎれば、人を惑わせたり、道を誤らせたりすることもある。

 父は、フレアの正義感に潜むそんな「幼い純粋さ」を合わせて感じとっていたからだ。

  —— 我が子の成長に、一喜一憂しながらも、しっかりと見守り導いていく。それが、親の大切な務めの1つであろう

 そして父は、そう自分に言い聞かせるかのように、ほんの一瞬だけ間をおくと、先ほどのフレアの誓いに対して、やさしく諭すようにいつものこの言葉を返してやるのであった。

「真の敵は自分自身。
"ヴィランズ" ばかりを追いかけて、その本質を決して見失うんじゃねぇぞ」

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※この小説My Cool HEROESは、ジェネラティブNFTコレクション「My Cool HEROES」の背景に流れるストーリーをまとめた中編小説です。

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