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詩『音』

生まれる前に解散したバンドが
大人の僕を救っている。
現在進行形の『救っている』。
情緒不安定な地球で生きるには
衣食住だけじゃ足りなかった。
彼らに出会わせてくれたことに感謝したい。

嘲笑や拍手は長くは続かない。
風は、掻き消すために吹いている。
しかし、時に炎を煽り
髪を振り乱して踊り狂う。
僕の心はとっくに奪われていた。

手のひらを返す、という行為は
一番地味で、簡単で
実は音が大きく、厄介な行為だ。
その聞こえない音が日に日に大きくなっている。

しかし僕には、揺るがない『音』がある。
簡単には掻き消されない『音』がある。
そして、胸に手を当ててみれば
健気にも確かに刻まれる音。
建設の槌音にも似た、躍動感のあるリズムを伴い
僕を救っている音が、明日への勇気を築いている。

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