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詩『何も』

何もしてない人間の
何でもない物語

何もない日々の中で
何でもない空が広がり

僕は何とはなしに
何にもない部屋を見つめ

排ガスが窓を叩き
虚ろな目がさまよっている


何もしてない人間の
何でもない物語

ただご飯を作って洗濯をして
そして何もせずただ座っている

何もしない、ということを
ただ大事に持っていて
それに傷ついて
それでも何もせず
『何もしていない』ということをしている


何もしてない人間の
何でもない物語

横殴りの雨がエンドレスしても
書き殴りのノートは底を尽きかけ

ただ何もしていないから
金は減るわ
脂肪は増えるわ
一日長いわ
曲短いわ


何もしてない人間の
何でもない物語

何もない空から
何もない大地へ
何でもないワルツが
何でもない心をうるます

もう疲れた、と言って
やっぱり何でもない風に吹かれ
何でもない空を見上げながら
俺の情熱の再就職先はどこだろう、と
吐いた息はいつも白い

たとえ本当に何もなくても
何でもない日々だとしても

それでも、何でもないと感じたものすべてが
心の中に残っていく
物語として残っていく


何もしてない人間の
何でもない物語







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