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第二十七話「お薬の時間です」桐藤と一の姫③

「嬉しいですよ。頑張って、お召し上がりになってくださったのですね。以前は、あまり、召し上がって頂けない時もあったので、安心致しました」「でも、桐藤は、足りないでしょう?」
「すぐ、お昼が来ますから、大丈夫ですよ。さて、お薬を飲みましょうね。ああ、随分、ありますね」
「御殿医の処方ですから、守らないと、病が進んでしまうのですって」
「それは、大変です。一つずつ、出して差し上げますから、手を出してください」
「そんな、そこまで、暁だってしません」
「そうですか?」
「小さな子ではないのだから、できますから・・・」
「わかりました」

 お膳をワゴンに片づけ、水を注ぎ、姫にお渡しする。後は、対峙して、俺は、貴女がお薬を飲むのを見ているだけですね。いいお仕事ですね。

「あ、・・・あの、そんなに見られてると」
「困りますか?」
「恥ずかしいです・・・」
「じゃあ、僕はワゴンを外に出してきますから、その間にどうぞ」
「なんか、ごめんなさい」

 振り返ってみると、また、慌てたご様子で。そんなに、焦らなくてもいいのに。
見え隠れする、・・・お気持ちの、その感じが、堪らなくなりますね。

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