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第十四話 桐藤編①「一の姫」             御相伴衆~Escorts 第一章

 皇宮の中でも、庭を見渡せる、眺めの良い一室に、第二皇妃の長女、つまりは、一の姫 柳羅りゅうら様がいらっしゃる。生まれつき、身体が弱く、原因不明の持病があり、外に出ることも少ない。本がお好きで、一日中、読書をされて、過ごされている。

「失礼します。柳羅姫様、お食事、ご一緒しようと思って、お持ちしました」
「ああ、桐藤きりとですね。お待ちしておりました」

 一の姫柳羅様は、御年20歳。身体が丈夫であれば、とっくに、近隣諸国の王子の元に嫁がれている年頃であるが、その病の為、縁談を断り続けている。

「桐藤、お母様にお願いしていたことがありまして、お伺いになっていますか?」
「何の事でしょうか?」
「あ、・・・あの、お庭で、絵を描いていた子は、呼んで頂けないのでしょうか?」
「聞いておりませんが・・・それより、お食事にしましょう。こちらに来られますか?」
「・・・あまり、気が進みません」
「食べないと、病に負けてしまいますよ」
「でも、・・・」
「お顔が白いです。まずは、ベッドから出てください。お食事がとれたら、庭に出てみましょうか?」
「・・・」

 読みかけの本を手元に置いたまま、俯いたまま、姫は悲しそうな顔をされる。

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