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御相伴衆~Escorts 第一章 第六十七話 姫の涙、数馬の決意 

 数馬と慈朗が、厨房に行くと、三の姫が、暁と月と一緒に、クッキー種を捏ねていた。可愛いクッキー型が、調理台に並べられている。

「あっ、数馬、慈朗。さっき、桐藤とお姉様も見に来てくださって」
「まだ、焼けてないの?割れちゃって、出せないのとかないのかなあ・・・と思って」

 女官のルナが、声に気づき、厨房の奥から、何か盛り付けた皿を持って、出てきた。

「慈朗様、食べられなかったから、お腹空いたのですね。だと思って。これ」
「ああ、数馬―、これ、月の美味しいやつだよ」
「ああ、それ、俺が月に教えたんだよ」
「『たこ焼き』っていうやつですね。評判が良くて、賄いでも、よく作っていますよ。専用の鉄板を、東国から、取り寄せましたから」

 慈朗が、嬉しそうに、たこ焼きを受け取ると、数馬は、少し自慢気に続けた。

「俺が興業で、よく回っていた、東国諸島部の名物なんだよ」
「食べていい?」
「あっ、素手では、熱いですから。あと、口の中でも、熱いですから、ゆっくり、召し上がってくださいね」
「うん、知ってるんだけど、食べたさが上回って・・・」

 三の姫は、手を止めて、一連のやり取りを見ていた。

「まったく、相変わらずだなあ。慈朗は、食いしん坊で」
「うん、・・・皆、お疲れ様だったよね」

 三の姫は、自分に声をかけられたと思って、返事をした。

「ああ、ちょっといい?・・・あのさ、今夜はさ」
「うん」
「私室に戻って、慈朗と寝るから」
「・・・あ、うん・・・疲れてるもんね。わかった」
「姫も、あんまり、頑張りすぎるなよな」

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