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第二十三話 回想・国の為に~黒皇子と白王子・前編

 素国にいたのは、11歳の時までだった。
 エレメンタルの最後ぐらいに、王統検査を理由にして、紫統ズードン様に初めて侍り、深くなったのは、身体が変わってからだった。まあ、そうなって、すぐに、国を離れたのだが。

 紫統様とは、王家紫族の親戚で、幼心に、格好いい高官だ、と、ずっと、思っていた。勉強や、作法、特に、身体の使い方というか、所作については、教えて貰った。本当に、全てに於いて、優れたる方で、俺は、ひたすら、憧れ、尊敬していた。だから、教えを請うたのは、俺の方だった。その為に、通うようになって、その内、泊まるようになって・・・、可愛がって貰った事には、驚きはあったが、抵抗はなかった。文字通り、俺は、純粋培養の男色に仕込まれた。事実、やっぱ、上がるのは、女より男だし、結果、良かったんだ。そもそもの素質があったと、我ながら、思う。紫統様は、今だって、好い感じのロマンスグレーだ。やっぱり、未だに、俺は、あの人に弱い。結局は、言うことを聞いてしまった上での、スメラギ行きとなってしまった。

 初めてのスメラギとの石油交渉の時、紫統様について行った。その時に、第二皇妃様に、初めて、お会いした。あの方は、無遠慮に俺のこと、じろじろと見てきた。そして、おもむろに、紫統様に言った。あの時は、ショックだった。

「・・・その代わり、この子を、私に預からせては頂けませんか?当然、国賓クラスのゲストとして、お迎え致しますが故、いかがでしょうか?」

「・・・承知致しました。この子をここへ遺しますので、よろしくお願い致します」

 以来、俺は、ここ、スメラギにいる。あの時は、一瞬、紫統様に捨てられたような気分になったが。その日から、俺は「柚葉ゆずは」と呼ばれるようになった。

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