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~2022年応燕を振り返って

2022年10月30日。日本シリーズ、対オリックスバファローズ。第7回戦。
5点差で負けていたゲームを4点まで勝ち取り、1点差まで迫っていた展開だった。
まだまだいける!勝ちはある! テレビを観ながら、両手を握りしめていた。
だが、ついに9回裏。1点差は覆らず、絶叫と共に東京ヤクルトスワローズの激闘は幕を閉じた。

悔しかった。本当に悔しかった。歓喜に沸くオリックスバファローズの胴上げの後、列に並んでファンに手を振る高津臣吾監督の涙に、号泣した。

日課であった野球中継を観ることがなくなる。
それがまた、さみしくもあった。
そんな一端のスワローズファンの回顧録です。


〇なんといっても村神様様

村上宗隆という選手を、いつしか人は「村神様」と崇めるようになった。

シーズン最多本塁打記録の56号の到達。
令和初にして、22歳で史上最年少の三冠王。
通算100本塁打、シーズン100打点のNPB史上最年少記録、セ・リーグMVP受賞最年少記録、NPB史上初となる5打席連続本塁打記録…。

この輝かしい栄光の数々…。
長く続いてきたプロ野球の歴史を塗り替えていく瞬間。
後に多く語られるであろう村上の伝説を、リアルタイムで見ることができたこと、後世に語れることは誇りだ。
毎日ホームランを打つ村神様には、恐れすら感じるほどだった。

エラーをしてしまい、その後の対応で青木選手に怒られていた光景を、まるで昨日のことのように思い出すこともあれば、
真夏の神宮でサヨナラホームランを決めて、大狂乱の神宮球場のカラービジョンに映った村上の笑顔も覚えている。
チームが苦境の中でも村上宗隆という選手は日々成長し、スワローズファンに大きな誇りをもたらしてくれた。

そんな村上が大活躍した2022年は、「スワローズファンでよかった」としみじみ思えるシーズンだった。


〇ヤンスワの成長

どこの球団もショートのレギュラー化が課題とされる中、スワローズはしっかり遊撃手・長岡秀樹の固定化ができた。
これは本当にいい結果だったと思う。

千葉県出身の長岡選手は学生の頃、千葉ロッテマリーンズの試合で、当時現役だった大松尚逸さんを見ていたとのこと。
そんな彼がプロになってバッティングに悩んでいた時に、スワローズのコーチになった大松さんからアドバイスを受けたのだそう。
観客席から真剣な目で試合を見つめていた彼が、あの日背番号10番をつけていた人物から教えを受け、恐怖の8番バッターへと成長した…。
なんというエモーショナル……。

シーズン序盤、正捕手・中村悠平が離脱という厳しい状況の中、プロ2年目の捕手・内山壮真も活躍が注目された。
ベテラン投手・石川雅規ともしっかり配球の打ち合わせをし、自分から「こうしましょう」と意見を言う場面もあったとか。
石川・内山バッテリーが「親子ほど年齢が離れている」と実況されるの好きだった。

将来有望な若手選手が育っている環境の良さを伺うことができ、これからの活躍が本当に楽しみ。
長岡・内山の連続ホームランは痺れた。

〇長年課題とされてきた投手陣の活躍

スワローズには、先発完投型にすぐ名前の挙がる選手はいない。
「先発投手の失点は3点までなら許容範囲」というのを聞いたことがある。(本当にうろ覚え)
まさにスワローズの先発投手は「最小被害で食い止めて、後続に託す」という流れがあり、先発・中継ぎ・クローザー、それぞれの投手が己の役割を全うしている。
責任感を持って引き締まった投球が生まれるので、いい試合を作れるのではないだろうか。

個人的に投手・高橋圭二選手の活躍が素晴らしいと思った。
自分はこの春に、対ソフトバンクのオープン戦を見にいった。
その時の先発が高橋選手だったのだ。
四球、ヒット、パスボール等々……どたばたハラハラな立ち上がりに大丈夫か…と危惧していた。
だが、シーズンがはじまると、しっかり勝利数を重ね、初完封を挙げるなど結果を残したのだ。
自分の弱みを見直して、修正し、結果を出す。
今年は高橋選手の成長を、底力を見たような気がした。
高橋選手の今後の活躍に期待したい。

そんな中、奥川恭伸選手の早期離脱が手痛かった。
来シーズンはしっかり先発ローテに名を連ねてほしい。

〇田口麗斗という男

グッズへサインをするファンサービス、気迫を見せるマウンド。
試合後はカメラで抜かれていることを知りながら、
ポージングをしたりキメ顔をする茶目っ気を見せてくれる人柄などなど。
彼は「試合をしてプレイを見せる」だけではなく、
積極的にファンに関わって、楽しませてくれた。
選手が答えてくれるというのは、ファンも嬉しいものである。

田口選手が放送席で「ヤクルトに来てよかったね」と言われまくってたのがおもしろかった。
マウンドでも、それ以外の場所でも、生き生きとした田口選手を見るのは、楽しかった。
来てくれて、楽しませてくれて、本当にありがとう。

〇助っ人外国人の活躍

オスナ、サンタナ、マクガフ、キブレハン、サイスニード……
助っ人外国人の活躍が素晴らしく、日本の野球に真剣に取り組んでいる姿に感謝しかない。

セ・リーグ優勝記念のビールかけで、オスナ選手と塩見泰隆選手が外国語で会話していたのを目にして、「え、塩見理解してる…!?」とひとりで驚愕していた。
(イケメンがどうのこうのと言っていた気がする)

メジャー経験もあるベテラン・青木宣親選手が率先して外国人選手とコミュニケーションをとっているのもあり、
外国人選手にとってチームメイトと気兼ねなく和気あいあいと過ごせる、いい、雰囲気なんだろうなということが伝わってくる。

〇石川・青木・川端 燕のベテラン

来シーズンから球界最年長となる投手・石川選手。
気合を入れるために坊主頭にした青木選手。
代打の神様・川端慎吾選手。
ベテラン選手がストイックに試合に臨む姿が常にあるため、若手たちはその姿に、身が引き締まる思いだろうと思う。

若手・中堅・ベテランのバランスがいいのも、スワローズのチームワークの良さが出ているのだと思う。

〇突然の戦力外通告

吉田大成、中山翔太、寺島成輝。この3人が戦力外通告を受けた。
自分にとって、けっこう衝撃的だった。
かつて、1軍でプレイしていたのを目にしていたからだろう。
今年はなかなか1軍に上がってこなかったけど、がんばってるだろうな~ぐらいに思っていた。
だが、いくら20代とは言え、結果が出なければ生き残れない世界。
つくづくプロの世界は厳しいものだと、自分にも現実を突きつけられた。


〇推しの引退を経験……

自分は2016年シーズンからスワローズファンになったのだが、その年に、ぐっちさんこと坂口選手がスワローズにやってきた。

同じ時期からスワローズを共にする、ということに運命を感じたこと。
彼のすらっとしたスタイルと、おしゃれな髪形と、低い声に「え、かっこいい…」と夢中になったこと。
華麗なバッティングで、リードオフマンとして試合を引っ張っていく。
そんなぐっちさんが活躍する姿に、魅了されたこと。
はじめてスワローズのユニフォームを購入するとき、迷いなくぐっちさんの背番号を買った。
推しの誕生である。

今シーズンは、ぐっちさんの引退をうすうす感じていた。
ぐっちさんの引退試合は現地に行きたい…と思っていたが、結局はテレビ中継でその雄姿を見送った。
痛くても痛いと言わない男。坂口智隆。
ファン感謝祭で食べたぐっちのオムそば。
グッズショップの帰りに、練習帰りの川端選手と歩いている姿を目の当たりにして、緊張のあまり吐き気を催した、いちょう並木。

自分がプロ野球を好きになり、ひとつのチームを応援するという経験に、坂口選手の存在は欠かせない。
自分はこの先も、ぐっちさんのユニフォームを着て神宮に行く。
(ビジターユニもあるので神宮以外にもいく)


〇感動の引退セレモニー

引退する選手たちより、現役の選手のほうが泣いている。
当日は、そんな話題で盛り上がっていた。

引退セレモニーにて、サプライズでゲストからの花束贈呈があった。
ぐっちさんには近鉄・スワローズでチームを共にした近藤一樹選手から。
内川聖一さんには、在籍していた福岡ソフトバンクホークスの元監督、工藤公康さんから。
そして、嶋基弘さんには東北楽天イーグルスでバッテリーを組み、日本一を勝ち取ったかつてのチームメイト、田中将大選手から。

強いつながりがある方たちから、感謝と親愛が込められた花束贈呈だった。
やってきた人たちに神宮も沸いていたし、「もしかして…」と思い当たる人物が的中したのもあって、まさしくサプライズだった。
3人も驚きつつも、嬉しそうな様子で花束を受け取る光景は、とても感動的だった。

多くの人たちが3人に手を振り、後輩たちが写真を撮る。
名残惜しそうに涙する姿に、ファンが懸命に感謝とねぎらいの拍手を送る。

3人が多くの人に愛され、惜しまれつつユニフォームを脱ぐ…
さみしくもあり、感動的な引退セレモニーだった。


〇愛されしキャプテン・山田哲人という男

セ・リーグの優勝が決まったとき、カラービジョンには涙を浮かべる山田選手が映され、話題になった。

今シーズンの山田は、自身の不調に苦しんでいた。
深刻な打撃不調。苦手とする相手ピッチャーが登板の日はベンチスタートもあった。
打球が上がらず、相手守備のグラブに収まって、悔しそうな顔をする山田選手の顔を、自分も見てきた。

自分のプレイがチームに貢献できない苦しみ、もがきながらチームが優勝した喜び。
山田選手の涙の訳を理解し共感しているから、チームメイトもファンも、彼を応援し続ける。
山田選手は周りに愛される男だ。

とにもかくにも、東京ヤクルトスワローズ にはキャプテン・山田哲人という男がいる。
それは揺るがない信念であり、スワローズ を支えるのに必要なことなのだ。

~来シーズンに向けての期待

  • 投手陣が力をつけてきたのが分かるので、あとは打線でしっかりと投手をサポートできるようにする。

  • 山田哲人の復活を誰もが期待している。有無をも言わせぬ圧倒的なプレーで、チームを引っ張ってほしい。

  • 先発投手がいかに試合を作れるか? ルーキー・山下投手の活躍に期待。


完全なる素人の意見ですが、ここまで読んでくださりありがとうございました。
来シーズンも、東京ヤクルトスワローズを応援します。
さらなる活躍を期待しています。

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