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CNC加工も切削装飾も、自転車愛とおなじ  ND X12

こんにちは。あら50りっぷです。

ND Audio製のイヤホンはすでに2つ所有しています。エネルギッシュな低域だったスイッチ搭載1DDモデル『ND DD3』、そこに1BAをプラスすることで中高域をさらにソリッドでキレのあるサウンドにし、寒色カリカリ度合いを増した1BA+1DDモデルの『ND NICE』。2台ともボクの大好きなイヤホンで、KZシリーズよりも音圧重視のサウンドにエネルギーをもらいました。

そして2024年2月、3台目となるフラッグシップモデル『ND X12』を一足先にAliExpressで入手することができたので早速レビューすることにします。

CNCアルミ合金の光沢が眩しいシルバーモデル。指紋の付着が気になる人には梨地のブラック塗装モデルもあり


X12はこれまでのエントリーモデルと比較すると非常に豪華な仕様になっていて、名前の通り左右で12個のドライバー(片側 5BA+1DD)を搭載しています。ベース・サブベースを担当する10mmダイナミックドライバーには、硬質でソリッドな音表現が特徴のCNT(カーボンナノチューブ)振動板を採用し、さらに中域用には 50024 BAを4台、高域用には30095 BAを1台割り当てています。

なめらかで角の丸い曲線美。シルバーアルミは全方向よく磨き上げられている

コレクションの中で印象的な多ドラモデルといえば、高域に刺激的なピエゾツイーターを採用し、サウンド全体を硬質・寒色カリカリに仕立てた『NICEHCK NX7 MK4(1Pz+4BA+2DD =14ドライバー)』や、今でもボクにの中では相性No.1の『KZ ZAX(7BA+1DD =16ドライバー)』などが挙げられます。果たしてND X12はこれらの先輩モデルを凌駕することができるのでしょうか? 期待が高まりますね!

コンパクトで軽量な金属シェル。この小型シェルの中に5BA+1DDが詰まっている

KZ ZSTx等と同サイズと思われるコンパクトなシェルは、CNCアルミ合金製でノズル部を含めてオール金属です。この小型のハウジングの中に5BA+1DDが配置されていると考えるとものすごい設計です。耳にいれるとアルミの触感が冷たく感じられますが、角の丸いなめらかな形状で装着感も良く、重量は本当に軽いです。フェイスプレートはフランスのトリコロールカラーのような赤・青・白に黄色をプラスした4本のシンプルなラインデザインとなっていて、チープ感もなく面白い装飾だと思います。

特徴的なフェイスプレートデザイン。CNC加工も軽量切削もクロモリ自転車愛と重なる

普段からボクはメカマニアでロードバイクおたくでもありますが、少年時代まだ競技用自転車のフレームが鉄(クロムモリブデン鋼)を溶接して作られていた時代にこんな装飾をよく見かけました。目的は鉄フレームを少しでも軽量化するために強度ギリギリまで切削加工を施していたのですが、当時から美しい職人技にすっかり惚れ込んでいました。まさかそれと似た装飾をイヤホン界隈で再び見ることになるなんて。他社モデルとの差別化という意味で、X12はボクの自転車遍歴を回顧させる特別なモデルであったと言えるでしょう。

ノズル部は極太で短かい。最近の流行だと思うけど装着してみると見た目ほど違和感がない


最近の流行なのか、ノズル径は極太で短かめの設計になっていますがイヤピースを選ぶほど極端ではありません。写真からフィルターも金属製なのがわかります。ところが見た目ほど装着時の違和感はなく、スムーズに装着できました。

先に説明したCNT(カーボンナノチューブ)振動板採用のダイナミックドライバーが、硬質でソリッドな音を奏でるのは容易に想像できますが、果たして中高域のサウンドはどう処理しているのでしょうか?

常用のELECOM SPARE EAR CAP(EHP-CAP20L)。低域の量感をそのままに中高域の明瞭度を上げる。現在廃版になったか、入手困難になった


いつものように、イヤピは純正より一段階中高域の明瞭度が増す常用のELECOM SPARE EAR CAP(EHP-CAP20L)に交換して試聴することにします。またケーブルについてもリケーブルを試みてみましたが、KZのコストだううんケーブルなどとは異なり、結局最後には付属の純正ケーブルが最も相性がよいことがわかりました。バランス接続時以外はデフォルトでこのまま使用することにします。

音質について
これは、箱出しの状態から120点満点ですね! 

純正の4芯銀メッキケーブルのままで聴くのが、低域の音圧が最も感じられてオススメです。他メーカーで評価の高い無酸素銅+銀メッキケーブルも試してみましたが、どれを組み合わせてもやや低域が減衰されてしまう感じがしました。理由はわかりませんが、とてもめずらしい例だと思います。

純正の4芯銀メッキケーブルで低域の音圧が最も感じられたのにはビックリした


細めで非常に取り回しのよい純正ケーブル。十分質感も高く巻き癖もつきにくい


10mmDDが担当する低域は想像通り硬質でキレのあるベース/サブベースで、量感の採点は80点くらいでしょうか。重低音モデルではありませんがバランス的にこれで十分と感じる人が多いはずです。低音ブースト系大好きなボクでも許容範囲です。他の帯域音を美しくはっきり際立たせてるためのバランスにチューニングになっています。

思わずポリッシュで磨き上げたくなるCNCアルミの光沢。レトロデザインも好きだなあ

中域はクラシックな50024 型BA 4台に割り振られているため、量感もエネルギーも十分で、音と音の不自然な継ぎ目がなく非常になめらか。ボーカルが前に出て良く聴こえるだけでなく音圧も十分にあります。X12のサウンドの主軸が中域であることがすぐにわかります。

この中域の影響は高域にまで及んでいて、かなり明瞭であるのにも関わらず、聴き疲れするような刺さりがありません。音を複数のBAに振り分けて自然にミックスしたことのメリットが大きく現れています。解像度も高く定位もいいので、厳格にとらえなければ簡易モニターイヤホンとして使うこともできると思います。音場はややタイトながらも中高域が気持ちいいレベルで突き抜けていきます。

音場の広さと中高域の解像度の高さでは頭一つ飛び出た多ドラモデルの『KZ ZAX』と比較すれば、あちらは背面の大きな開放スリットのおかげで全音域うがヌケの良い明るい音表現であるのに対し、X12は音場はタイト気味ながら中域・低域がボーカルをより美しくひき立たせるバランスチューニングになっていると感じました。どちらも寒色カリカリ度合いは最高なので、もう一台No.1モデルが増えてしまって嬉しい悲鳴です。

全ON(111)がベスト設定。出力も上がり全帯域にメリハリが加わる

スイッチ設定について
正直冒険するつもりはありません。そのくらい低域・中域・高域ともに全ON(111)状態が最良だからです。全OFF(000)と比べればインピーダンス出力も大きく変化し、音量がとりやすいだけでなく音のメリハリ度までUPします。これ以上の選択肢があるでしょうか。ぜひ興味のある人は他のモードも試してみてください。

おそらくこのまま変更することはないでしょう。全ONの111バランスが最も好き

価格はエントリーモデルよりはやや高めで、Aliexpressセールでも6,000~7,000円程度でしたが、買って損のない極上イヤホンだと思います。音質的には確実に1万円超えの実力ですし、簡易モニターイヤホンとしても使えるし、ボクの中華コレクションの中でもかなり上位に入るモデルの一つです。オールジャンルに対応しオールマイティーに楽しめる「完成度の高い」愛機として、これから持ち出す機会が増えそうですね。

自転車愛とおなじ、アルミ光沢の輝き

かつてのShimano DuraAceのハイエンドロードコンポ。磨きがかったアルミ光沢にエンスー感が漂う
アルミインゴットから削り出されたクランクの艶めかしい質感。職人技が垣間見える


見た目もブラックより手のかかった『シルバー光沢』モデルを選んで大正解でした! これってまるでロードバイクコンポじゃん!

ロードコンポのハイエンドモデル Shimano DuraAceの輝きのように、あるいはCampagnoloの削り出しクランクのように、職人の手によって創り出された造形美と艶めかしい質感は他にないエンスー感を漂わせ、所有する喜びを刺激してくれます。

マニア心をくすぐる外観のイヤホンを身につけられる興奮に身悶えなから…しばらくコイツに恋してみようかな?


AliExpressで購入の場合
【ND X12】

https://ja.aliexpress.com/item/1005006485187631.html?spm=a2g0o.order_list.order_list_main.11.2773585aUvdQWR&gatewayAdapt=glo2jpn



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