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こうもりの三顧の礼 #120

私の実家は、まあまあな田舎で田んぼが広がる長閑な町にあります。
よくある、スーパーからドラッグストアから子供服衣料店から、規模は小さめなもののあらゆる店が詰め込まれている系の町です。

そんな町の中、山裾というわけではないものの、それなりに近くに山がある我が実家は、よくこうもりの襲来を受けていました。
夜な夜な現れ、我が実家の屋根にぶら下がり、夜明けとともに糞だけ残していくこうもり…

そんなこうもりに「糞は家の外でしてきてよね。。」とは思いつつも、実害はそこまでなかったので特段気にすることなく放置していました。

が、とある日、当時中学生だった私が、夜になり、寝ようと2階へ上がったその先廊下の突き当り。
ずぼらな私が開けっ放しにしていた子供部屋の扉の向こう。
真っ暗な子供部屋の天井付近に。
何か。

光るなにかがいたのです。

ギョッとしてすぐに「おかあさーん!!!!!」と母を呼びに行った私。母と共におそるおそる2階へ舞い戻ったところ。

やっぱりいる。

目を凝らしてみると、それは、天井からぶらさがったこうもりの目だったのです。

なんでやねーーーーーーん!!!!!

なぜか子供部屋に侵入したこうもりに対し、我々は無力。
楽しそうに子供部屋の壁から壁にとびうつるこうもり。
Gには強いのに動物全般に弱い母は涙目。

これはもう私がなんとかするしかねぇ。

ということで、虫取り網でなんとかこうもりを捕獲し、外に逃がしたのでした。

しかしなぜ部屋の中に?
その問いを放置したことをわずか2日後に後悔することになるとはそのときは思いもしませんでした…。

***

2日後、さあ寝ようと思い2階にあがった私。

子供部屋の扉を開こうとしたところ(その日は閉めていた)、中からバサッという音…。

ツツーっと垂れる冷や汗。

なにか…いる。

しかもこの音、なんか聞き覚えある。
つい2日前に聞いたことある。


そう、こうもりリターンズだったのです。

またもや涙目の母に背中を押され(ひどい)、虫取り網で捕獲して解放。

これまたぜったいあるやん!!!
と思い部屋中を調べるも、全くどこから入ったのか分からない。

その日から戦々恐々としながら子供部屋で眠ることになったのでした。


そして1週間後。

二度あることは三度ある。

そんな言葉を体現するかのように、こうもりは再び姿を現したのでした。

そう、エアコンの下部に挟まって。
律儀に我が家に訪ねて来たのです。
その姿はまるで、かの劉備が諸葛亮が住む庵を三度も訪ねて礼を尽くした姿の…

え、エアコンからきてたんかーーーーーい!!!!!

後々業者に来てもらってみたところ、取り付けが甘かったのか、排気口の部分がきちんと塞がれておらず、そこから入ったのであろうとのこと。

いや、こうもりが入れるレベルの穴ならなんでも入りたい放題じゃん。

ゾッとしながら業者さんが穴を塞ぐのを見ていました。
幸い、その後、再びこうもりが現れることはありませんでした。

しかし、穴があいているとはいえなぜこうもりたちはああも毎度毎度部屋に侵入してきたのでしょう?

こうもりの中にも好奇心旺盛なやつらがいるのでしょうか。

もう二度と近くでお目にかからないことを祈っています。

それではまた、ごきげんよう。


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