運転が怖い

ついに高校を卒業する時期がやってきた。いよいよ学生生活も終わりを迎える。進学する人や就職する人、周りには様々な選択をした人達がいる。

進路の選択は様々だが、どの進路であっても、ほとんど共通する選択がある。自動車学校だ。おそらくはこのタイミングがベストであるだろう。ほとんどの人が免許取得を目指す。私も同じ選択をした。

最初は学校内で練習をした。緊張もあるが楽しかった。自転車と違い、軽くペダルをふむだけでぐんぐん進むので、感覚がおかしくなった心地がした。思ったよりもハンドルが効かず、曲がりきれないこともあった。

仮免許を取得して、いざ路上教習。知っている街並みが、窓越しに過ぎていく。車から見た自転車は動く地雷のようで、これからは安全な自転車運転を心がけようと思った。

何回か路上に行ったあと、危険予測のシュミレーションをする。自分の運転で映像が動き、わざと危険な動きをするNPCを回避しながら一定時間運転をするのだ。その時、1人の人を轢いた。ありえない動きをしやがってと笑ってその時間は終わった。

次の日の路上教習の時間。いつもと変わりなく乗る。しかし、なぜか教官の注意が今までより頭に残る。もっとゆっくり行こう。アクセルを緩めた。だが、「ここ、規制50キロだから、もう少し出して。」と教官。気づくと35km/h。「あ、はい、すみません。」アクセルをふむ。こんなに速かったっけ。

それから運転が怖くなった。簡単に人を殺せると理解してしまったのだろうか。いつもより注意を払おうとすると遅くなってしまう。路上では周りに合わせなければいけない。プレッシャーがかかり、焦る。遅く走ることは許されない。そんな気がした。曲がる時さえ、速度を落とせなくなった。ゆっくり行っているつもりなのだ。

本当に人を殺す前にやめなければいけない。だが、自動車学校代の40万を無駄にしてしまう。まだ教習には回数があるし改善されるかもしれない。でももし、轢いたら。

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