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「弟の秘密のスケッチブック」第2話


山さんについて

山崎さん(山さん)は、バイト先の店長である。最初の出会いはバイト面接だ。「ありがとうございます」が口癖と言っても過言ではないほど感謝を伝えてくれる。

ここからは私の主観が強い。彼女の優しさは礼儀によって形作られたものだろう。自然に備わっていたものではなく、後天的に、人為的に取り付けられているような印象だ。

だが、後天的であっても、それは芸術的な域に達している。社会人の模範とも言える人だ。苦手と思った経験は思い出せない。

ただ時々、その芸術のあらが見えて気味が悪いと思ったことがある。きっと時間が経てば慣れるだろう。こんな風に書いて申し訳ない。


私の弟が大人になろうとしていることが分かった。子供っぽい感情に大人のような言葉を当てて、青年らしくもがいているような、そんな文章だった。

弟の大人になる過程を勝手にのぞいて、一体私はどうしたいんだろう。冷やかすつもりもなく、ただ興味本意で開いたこのスケッチブックを。誰かに相談したくなったが、後ろめたいのでできたもんじゃない。

でも、開いた以上は、勝手だとしても弟の悩みにとことん付き合ってあげたい。彼もまた、相談したいかもしれない。その時がきたら相談相手になれたらいいな。

そう思ってページを進めることに決めた。次の人物は竹さん。

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