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詰将棋で将棋の棋力判定はできるのか?

将棋ファンの誰もが思っていることに、「詰将棋で正確な棋力判定ができるのか」という疑問があると思います。

今回はそれについて私見を述べます。人それぞれ異論反論があるとは思いますが、最後までお読みいただければ幸いです。


01.条件付きならばある程度の棋力判定ができる

例えば、下の詰将棋が出題されたとします。この詰将棋は5手詰で原田泰夫九段は「5分で3級」と書いています。少しだけ考えて下に進んで下さい。

「読みが早くなる新作詰将棋200題(原田泰夫九段著)」の第5問

原田新作200 第5問

上の詰将棋は初手1三角成です。以下同玉、1一飛成、1二金合、2二銀までの5手詰となります。(この場合の合い駒はなんでもいいです。)

多くの将棋ファンが解けたはずです。では、本当に5分で3級の実力あるのでしょうか?

答えは否です(笑)。

普段から将棋の実戦を多く指していて、実戦でも似たような一間龍の手筋で相手玉を詰ましたことがあれば、実戦3級はあるかもしれません。しかし、実戦が伴わなければ、ただの詰将棋3級程度です。

しかも、たった1問の解答ですから、暫定3級や推定3級に相当します。

では、これが20問や50問の解答でしたらどうなるでしょうか?

仮に同レベルの詰将棋20問を解いて全問正解できれば、かなり正確な棋力判定に近づきます。上記のように実戦が伴うならば、この場合の将棋の棋力は3級程度あっても不思議ではありません。

つまり、条件とは「実戦が伴い」「問題数が多ければ」ということです。


それでは、次に詰将棋1問の解答でできることについて考えていきます。



02.詰将棋を解いてもらってわかること

引き続き下の詰将棋をご覧下さい。この詰将棋は「将棋五段合格の8秒詰将棋」で取り上げた問題です。出典は上記の本の第172問です。この詰将棋は13手詰で「10分で三段」となっています。解答は上のリンク先にありますので省略します。

原田新作200 第172問 13手詰 問題図


上の詰将棋を将棋初段以下の方に出題した時に、以下の3点がわかるかもしれません。

①過去の積み重ねがわかる

②現状を把握できる

③未来の伸びしろがわかる


①過去の積み重ねがわかる

将棋初段程度の方が上の詰将棋をスラスラ解いた場合、過去にある程度の詰将棋を解いてきたことが推定できます。こういう方は詰将棋が好きで序盤研究型より終盤型の可能性があります。その場合逆転勝ちが多く、昔の私のように大金星や金星をあげることが多かったかもしれません。こういうタイプは終盤での詰みを虎視眈々と狙っているので警戒する必要があります(学生時代の友人にも似たようなタイプがいました)。将棋初段が詰将棋三段の実力を持っている訳ですから、こういう相手をなめていると酷い目に遭います。

②現状を把握できる

将棋初段の方が上の詰将棋を見向きせず解かなかった場合、その時点ではあまり詰将棋が好きではなく、先行逃げ切り型のタイプ、あるいはグイグイ攻めまくって何となく勝ってきたタイプかもしれません。こういうタイプならば、詰将棋の重要性を理解して短期間に大量に取り組むだけで将棋二段や三段に簡単に到達するかもしれません。

③未来の伸びしろがわかる

将棋5~2級の方が上のような難しい詰将棋を2時間以上あるいは3日以上かけて解いてきた場合、その方の未来の可能性を予測できます。こういうタイプは将棋上達に必要不可欠な「根性」を兼ね備えています。この場合、指導者の方が一番楽しみにする人材かもしれません。


以上気が付いたことを簡単にまとめてみました。舌足らずなところもあったかもしれませんので、補足があればあとで追記します。

最後までご覧いただきありがとうございました。


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