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加齢による弊害を追跡できる炎症性老化時計『iAge』

▼ 文献情報 と 抄録和訳

深層学習に基づく炎症性加齢時計(iAge)は、多臓器不全、免疫老化、虚弱、心血管加齢を追跡する

Sayed, Nazish, et al. "An inflammatory aging clock (iAge) based on deep learning tracks multimorbidity, immunosenescence, frailty and cardiovascular aging." Nature Aging (2021): 1-18.

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[背景] 加齢に伴う多くの疾患は免疫系との関連が指摘されているが、最もリスクの高い個人を特定できる免疫指標は不足している。

[方法] David Furmanたちは、「1000イミュノーム」プロジェクトの一環として、1001人の被験者(8~96歳、女性66%)の血液検体を調べた。このプロジェクトは、慢性全身性炎症の特徴が、加齢に伴ってどのように変化するかを調べることを目的としている。Furmanたちは次に、人工知能を用いて、新しい免疫指標として、iAgeという炎症性老化「時計」を開発した。この時計は、血液中の特定の免疫細胞とタンパク質のレベルが加齢とともに変動するという考え方に基づいている。

[結果] 加齢の炎症時計(iAge)は、多臓器不全、免疫老化、虚弱、心血管老化を追跡し、百寿者の例外的な長寿とも関連していた。iAgeに最も強く関与していたのはケモカインのCXCL9で、心臓の老化、心臓のリモデリングの悪化、血管機能の低下に関与していた。さらに、ヒトとマウスの老化した内皮細胞は、機能低下、細胞老化、動脈硬化の特徴的な表現型を示すが、これらはすべてCXCL9をサイレンシングすることで元に戻る。

[結論] Furmanらは加齢に伴う慢性炎症においてCXCL9が重要な役割を果たしていることを明らかにし、加齢に伴う臨床表現型の早期発見に活用できる多臓器不全の指標『iAge』を導き出した。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

臨床現場では、常に予後を予測しながら介入をしている。「この方は、高齢+低栄養→改善度は低いかな」などである。しかし、この予測はしばしば外れる。要因として、高齢や既往などの間接的指標や、低栄養といった単一の直接的指標では予測能に限界があるのではないかと思っている。
今回の『iAge』は、直接的指標を複合的に用いたもので、これまでの予測の限界を超える可能性をもったものではないかと感じた。『iAge』はリハビリテーションの予後をどのくらい予測するだろうか?リハの予後に特化した老化時計が欲しいものだ。