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ストレッチ中に筋内の末梢神経で起こっている現象

▼ 文献情報 と 抄録和訳

ストレッチに対する末梢神経の反応:システマティックレビュー

Thomas, Ewan, et al. "Peripheral Nerve Responses to Muscle Stretching: A Systematic Review." Journal of Sports Science and Medicine 20.2 (2021): 258-267.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景・目的] ストレッチは一般的に可動域と柔軟性を高めるために行われる。したがって、調査は通常、筋-腱ユニットに向けられる。ストレッチが筋肉内にある末梢神経に及ぼす影響については、限られた証拠しかない。本研究の目的は、ストレッチングに対する末梢神経の反応を明らかにすることである。

[方法] 本研究では,以下のデータベースを用いて文献検索を行った。Scopus, NLM Pubmed, ScienceDirectを用いて文献検索を行った。ストレッチプロトコルが末梢神経の反応に及ぼす影響に関する研究を検索し、調査を行った。品質評価にはNHLBIツールを使用した。評価項目は,神経の硬さ,神経の変位,痛覚閾値,抵抗性トルクなどとした。合計10件の研究が適格であるとみなされ、この調査に含まれた。

[結果] 研究の質を評価した結果、対象となった研究の方法論的な質は全体的に「公正から良好」であった。1件を除くすべての研究は,健康な被験者を対象としていた.ストレッチのプロトコルには高い異質性が認められた。ストレッチの結果、神経の硬さ(15.6%減)と痛覚閾値(1.9kg減)が増加した。また,対象としたすべての神経において,各運動面での神経の変位と神経の変形が頻繁に観察された

[結論] 筋伸張に対する末梢神経の反応として、神経の硬さの減少と痛覚閾値の増加が見られた。また、神経の変位も頻繁に起こる。神経の変位を減らすことが臨床結果につながるかどうかはまだ不明。ストレッチに対する末梢神経の適応に関する縦断的な研究は不足している。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

想像していた以上に、硬さの変化が大きい印象をもった。気になるのは、可塑性で、繰り返すことで神経自体が延長したり、柔らかさが長期的に維持されるかという部分だ。

何にせよ、僕たちは狙った部分(例えば筋)以外への効果に盲目になりやすいのだなと感じた、ストレッチ中に「神経がどうなっているかな」と思い描くことはあまりなかった。血管はどうだ?リンパはどうだ?骨はどうだ? 1つの力学的な刺激が、人体に及ぼしうる多様な影響を考慮する必要があると思った。