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指示から少し待つ時間をつくると精度があがる

▼ 文献情報 と 抄録和訳

動きの準備時間が動きのバラツキを決める

Sutter, Katrin, et al. "Movement preparation time determines movement variability." Journal of Neurophysiology (2021) 2375-2383.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 速度と精度にはトレードオフの関係性があり、フィッツの法則と呼ばれている。では、動き出しが速いと、動きの変化も大きくなるのだろうか?神経生理学的な研究では、運動準備中の神経の変動が大きいほど、反応時間(RT)が長くなり、動作の変動も大きくなると考えられている。このことは、RTが長くなると動作の変動が小さくなることを示唆している。

[方法] 本研究では、11人の被験者を対象に、視覚的に手がかりのある標的に向かって3万回以上の到達運動を記録した。また,視覚的な手がかりの半分はビープ音を伴っていたため,各参加者のRTの範囲は広くなった。

[結果] 初期到達変動はRTの増加とともに減少し、自発的に発生させたRTは約300msに達したが、他の運動学的側面や終点精度には影響がなかった。

[結論] 以上の結果より,動作準備時間が初期動作変動性を決定すると結論づけた。また、動作準備時間の選択は、動作の開始と精度の間のトレードオフを反映していることが示唆された。

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▼ So What?:何が面白いと感じたか?

お恥ずかしながら、経験的に納得はできるものの、フィッツの法則すら知らなかった。

リハビリテーションは単位(時間)で精算されるため、時間枠が決まっている中でいかに多くの量をこなすか、という部分も重要な一側面だ。多くの量をこなすために、急いで動作練習などしがちだが、今回の研究から、動作の指示を出した後、少し時間をおいた方が動作練習の精度がより上がり、効果性も高くなるかもしれないと思った。