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振り返り動作に2種類あるって知ってた?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

転倒への不安は、高齢者の振り返り時の分節制御と関連する

Cocks, Adam J., et al. "Concern about falling is associated with segmental control when turning in older adults." Gait & Posture(2021)105-108.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 健康な若年成人は、旋回時に頭、体幹、骨盤の順に体の向きを変える「トップダウン」行動をとる。このような行動は、転倒の危険性がある高齢者ではあまり見られず、旋回時に体節間の角度変位が減少することが多い。このいわゆる "en-block turning” 戦略の機能的・心理的な要因はまだ解明されていない。目的は、転倒への不安と"en-block turning”(体節間の結合の増加)を表す変数との間に関係を明らかにすること。

[方法] 21名の高齢者を対象に、適応型歩行課題中の旋回を評価した。頭部、体幹、骨盤を形成するマーカーからデータを収集し、旋回中の歩行速度は胸骨のマーカーから算出した。いくつかの変数を、単独転倒への懸念や、機能的バランス能力をコントロールしながら相関分析した。

[結果] 相関分析の結果、機能的バランス能力とは別に分析した場合、転倒への懸念は"en-block turning” 戦略とターン中の遅い歩行速度に関連していた。バランス能力をコントロールしても、頭部と体幹、頭部と骨盤の間での回旋戦略は、転倒の懸念と有意に関連していた。

[意義] 今回の結果は、高齢者の旋回行動とそれに伴う転倒リスクを決定する上で、心理学的特性が果たす役割の可能性を示唆するものである。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

この研究は、BBSの振り返り動作項目時の観察をさらに一歩深める視点を提供している。スクリーニング的に回旋動作をみて、仮に"en-block turning” 戦略だった場合にどのような介入につながるのかは、今後の検討が必要である。