見出し画像

転倒恐怖単独ではなく、実際の転倒が身体活動量低下に関与する

▼ 文献情報 と 抄録和訳

転倒恐怖単独ではなく、実際の転倒が身体活動量低下に関与する

E, J.-Y., Mihailovic, A., Schrack, J.A., Li, T., Friedman, D.S., West, S.K., Gitlin, L.N. and Ramulu, P.Y. (2021), Characterizing Longitudinal Changes in Physical Activity and Fear of Falling after Falls in Glaucoma. J Am Geriatr Soc, 69: 1249-1256.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar 

[背景] 視覚障害のある高齢者は、健常者に比べて転倒のリスクが高く、転倒に伴う健康被害を受けやすい。本研究では、視覚障害のある高齢者が様々な種類の転倒を経験した後に生じる、客観的に測定された身体活動と転倒恐怖症の経時的変化を明らかにした。

[方法] 研究デザイン前向きコホート。対象者は、緑内障患者または緑内障が疑われる人。測定方法→転倒とは、意図せずに地面またはそれよりも低い場所に落ちたことと定義し、傷害を伴う転倒は追跡調査により決定した。研究参加者は、1年目の転倒状況に基づいて、傷害を伴う転倒者、傷害を伴わない転倒者、非転倒者の3つのグループに分類された。身体活動は、腰部加速度計で評価した。転倒恐怖(FoF)は質問票により評価され、RaschモデルによりFoFスコアが生成され、スコアが高いほどFoFが悪いことを示していた。身体活動量とFoFの3年間の縦断的変化を混合効果モデルを用いてモデル化した。

[結果] 視野障害やその他の共変量を完全に調整した線形モデルでは、傷害性転倒者の身体活動は、非転倒者と比較して、3年間で1日の歩数(-425歩/d、95%信頼区間(CI)=-793、-57)、1日の活動時間(-13分/d、95%CI=-21、-6)、1日の中等度および活発な身体活動(MVPA)時間(-3MVPA分/d、95%CI=-5、0)が年間(1年あたり)で大きく減少した。しかし、非傷害性転倒者では身体活動量は有意に減少しなかった。傷害性転倒者、非傷害性転倒者のいずれにおいても、非転倒者と比較してFoFスコアの長期的な上昇は認められなかった。

[結論] 視覚障害のある高齢者では、12ヵ月間のプロスペクティブな調査で確認された傷害性転倒は、3年間の身体活動の有意な低下に寄与し、FoFでは最小限の変化しか観察されなかった。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

身体活動量に対しては、転倒恐怖単独というより、実際の転倒が関与することは臨床上重要なことだと思った。こと転倒後の患者において、身体活動量増大のサポート需要が高いことを理解しておくべきである。