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パーキンソン病に対する音楽療法の効果がメタアナリシスで明らかに

▼ 文献情報 と 抄録和訳

音楽ベースの運動療法がパーキンソン病患者の運動機能、バランス、歩行、精神的健康、生活の質に及ぼす影響。システマティックレビューとメタアナリシス

Zhou, Zonglei, et al. "Effects of music-based movement therapy on motor function, balance, gait, mental health, and quality of life for patients with Parkinson’s disease: A systematic review and meta-analysis." Clinical Rehabilitation (2021): 0269215521990526.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[目的] パーキンソン病患者の運動機能、バランス、歩行、精神的健康、生活の質に対する音楽ベースの運動療法の効果を評価するシステマティックレビューを行うこと。

[方法] データソースPubMed,Embase,Cochrane Library,Web of Science,PsycINFO,CINAHL,Physiotherapy Evidence Databaseのシステマティックサーチを行い,2020年12月10日までに発表された適格な論文を特定した。レビューの方法文献選択、データ抽出、方法論的品質評価は、2人の調査員が独立して行った。出版バイアスは,ファネルプロットとEggerの回帰検定により判断した。潜在的な出版バイアスを調整するために「Trim and fill」解析を行った。

[結果] 598名の参加者を含む17件の研究がこのメタ分析に含まれた。音楽を用いた運動療法は,運動機能(Unified Parkinson's Disease Rating Scale motor subscale,MD = -5.44,P = 0.002;Timed Up and Go Test,MD = -1.02,P = 0.001),バランス(Berg Balance Scale,MD = 2.02,P < 0.001;Timed Up and Go Test,MD = -1.02,P = 0.001)を有意に改善した。 02, P < 0.001; Mini-Balance Evaluation Systems Test, MD = 2.95, P = 0.001)、歩行の凍結(MD = -2.35, P = 0.039)、歩行速度(MD = 0.18, P < 0.001)、精神的健康(SMD = -0.38, P = 0.003)などの項目であった。しかし、歩行ケイデンス、歩幅、生活の質には有意な効果は認められなかった。

[結論] 本研究の結果から、音楽を用いた運動療法は、パーキンソン病患者の運動機能、バランス、歩行の凍結、歩行速度、メンタルヘルスの改善に有効な治療アプローチであることが示された。

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人間はウサギのようなものだ
捕らえようと思ったら、耳をもって捕らえよ
フランスのことわざ

これまでも音楽療法の効果に関する論文は、ちょくちょく目にしてきた。目にしてきたが、真面目に捉えていなかった理由として①単発RCTであること、②音楽を具体的にどのように用いるかがイメージできなかったことがあった。
今回、 [A systematic review] [Meta-analysis]で効果が明らかになったということで、①は解決され、これを機に②も勉強してみようと思った。

パーキンソン病者との音楽を併用させた歩行練習の様子を撮影した次の動画を、ぜひみていただきたい!!!
(1分30秒くらいから具体的な音楽療法)、僕は驚いた!!!、効果的だった。歩行速度 & 独歩!?

これで、②のイメージも持つことができた。一緒にダンスし始めるところなどは、なんか、海外のノリやなと思った。そして、この患者さま、この音楽めっちゃ好き、絶対。