正義感を燃やすみんなに絶対読んでほしい『カイケツ小池さん』
こんにちはしらこばとです。
世の中の不正不義に怒り心頭の皆さん、顔真っ赤にしてますか?
今回はそんな「社会正義戦士」(Social Justice Warrior, SJW)の皆さんに絶対に読んでおいて欲しい、とある短編漫画を紹介します。
あ、SJWに辟易してる一般市民の皆さんも是非読んでいただけると嬉しいです。
作品について
作品名は『カイケツ小池さん』といいます。
レジェンド漫画家藤子・F・不二雄の短編であり、初出は『ビッグコミック』1970年4月25日号です。
収録単行本はいくつかありますが、以下の二つのうちいずれかをオススメします。
藤子・F・不二雄SF短編コンプリート・ワークス: ミノタウロスの皿 (1) (ビッグコミックス)
藤子・F・不二雄SF短編<PERFECT版>(1)ミノタウロスの皿 (ビッグコミックススペシャル)
かなり近い内容の二冊ですが、「コンプリート・ワークス」の方が2023年刊行と新しく、手に取りやすいコミックスサイズとのことです。
「面白かったら他の巻も買ってみようかな」とお考えの方には向いているかもしれません。
僕は以前「PERFECT版」をKindleで購入していたので、そちらからのご紹介となります。最新版とは表現が異なる可能性がありますので、その点をご了承ください。
あらすじと名場面と
Wikipediaに記載された説明文が丁度よいので、それと作中画像を少数引用します。
(引用者註:小池さんは彼女の家に毎回「覗き」をしに行っていました。その際「気づかれなきゃだれにもめいわくがかからない」と自分の行為を正当化して覗きを続行しています)
これこそが正義
「正義屋」小池さんは「自分の思い通りにならない全ての事に腹を立て、怒りの炎を燃やす」人物です。
『仮面ライダー龍騎』に登場する浅倉威(仮面ライダー王蛇)を思い出させる性格ですが、違いはなんでしょう?
僕が思うに、根本的に違いはありません。
最初のうち小池さんは「不正行為」や「卑猥なもの」「不埒なこと」などに対して怒っています。これらは確かに、悪し様に罵っても同情されないものです。これらに対する怒りは「正しい怒り」だと思いこむように人間の脳はできています。
力を得た小池さんにとっては自分自身が正義なので、既存の倫理観に縛られることなく、気に入らない人物を迷わず殺害し続けました。
また、浅倉はライダーに変身し戦っている最中長年の苛立ちが消えており、殺人の葛藤を捨てた小池さんも清々しい気持ちで朝を迎えています。
目立った違いがあるとすれば、犯罪者の自覚を持ち、自らが悪事を為しているとわかっていた浅倉と、神に代わって裁きをくだすと心に決め、自らの正しさを疑わなかった小池さん、この差異が気になるところですね。
あなたもカイケツ小池さんになれる…が?
小池さんはスーパーパワーと殺人念力を手に入れて「正義」を遂行していきましたが、皆さんも彼と同様の「投書」や「苦情電話」ならできますね。また、「怒る」ことには料金が発生しないので、怒るのはコストパフォーマンスがいい娯楽といえます。
そこでひとつ提案ですが、世の中の「正しくないこと」に声を上げていくのはどうでしょう?
例えば、電車でスマホをいじっている人を見ては文句を言い、体臭の強い人と隣合ったら肘で小突き、生活音のうるさい家があったら玄関に貼り紙をし、道路で遊んでいる子供を怒鳴りつけるのです。
マスクを外さない人が多すぎるとツイートし、ワクチンをやめろとはてなに書き、れいわ新選組だか参政党だかに献金するのです。
朝に赤旗を配り、夜に壺を買うのです。
女性の権利がどうのと役所に電話し、ジェンダーアイデンティティがどうのともう一度役所に電話するのです。
そんなくだらない人の営みが、どこかで他人とぶつかるのです。
なんなら自分の行いが自分の過去と矛盾することだってあります。
小池さんは人類を滅ぼしたかもしれませんし、その前にガンか何かで死んだかもしれません。
あなたは小池さんと同じ道を選びますか?
それとも人間として踏みとどまりますか?
目の前に小池さんがいたらどうしますか?
苦情電話がかかってきたらどうしますか?
もしあなたが正義に酔いしれて暴力を振るう快楽殺人犯でないのなら、人の心に巣食う「正義屋」と闘いましょう。
今月も皆様のサポートのおかげで生活保護申請せずにすみました。心より御礼申し上げます。