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読書ノート 『小さき者へ』

重松清さんの『小さき者へ』を読みました。
『小さき者へ』は六篇の物語から構成されています。表題作の「小さき者へ」以外の作品は「海まで」「フイッチのイッチ」「団旗はためくもとに」「青あざのトナカイ」「三月行進曲」となっています。
それぞれの作品は独立したものとなっていますが、どれもが家族、特に子供に焦点が当てられた物語です。

読み終わって一番心に残っているのは、子供たちの生き生きとした描写です。大人に守られるだけではない、子供のたくましさを感じました。
子供同士で行われるやりとりは面白くて、深刻で、なつかしいです。

また、父親の子供に対する眼差しが言葉になっているので、それも新鮮でした。本気で子供と向き合う父親の姿を見て、自分の中の父親像が豊かになった気がします。

作中に出てくる登場人物たちは、それぞれに事情があり、悩みがあり、葛藤
を抱えています。
例えば、おばあちゃんの態度が突然、冷たくなったり、親が離婚したり、息子が引きこもってしまったり、学校での勉強に疑問を覚えたり、志望校に落ちたことを言えなかったりします。
それがどんなに重くても、これから先の未来を歩いて行こうとする人たちに
心を打たれました。

お読みいただき、ありがとうございました。

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