『十二国記』シリーズ
投稿チャレンジ条件クリアの四本目は、『十二国記』シリーズだ。
小野不由美「十二国記」新潮社公式サイト
シリーズ「エピソード0」となる『魔性の⼦』が刊行されたのは1991年。シリーズの本編第一作『月の影 影の海』が1992年。しばらくは順調に巻を重ねていたが、2001年の『⻩昏の岸 暁の天』、短編集『華胥の幽夢』刊⾏でぴたりと止まり、宙ぶらりんの状態のまま、待って待って待ち続けてようやく18年ぶりの新作長編『白銀の墟 玄の月』が2019年に刊行されて、本編の終了となった。
物語以上に待ち続ける期間の長い、『十二国記』シリーズである。(出るって言ってた外伝、まだ出てないよね?)
全巻を通してみると、これは主に泰麒(戴国の麒麟)の物語だと思えるが、それぞれの話でそれぞれの国の王と麒麟の物語が描かれていて、基本独立した物語群となっているので、どこから読んでも構わないとも言える。
中華ファンタジーと言えるとは思うが、麒麟などの生き物を除けば、ほぼ普通の人間しか出てこない。一応主人公たちは「仙」という設定なので、不老不死ではあるのだが、仙術が使えるわけでもないし、我々と何も変わらない。そこが物語に入り込みやすい理由でもある。
異世界の話なので、設定を掴むのに不安のある方は一作目『月の影 影の海』から読むのが良いと思う(現代の女子高生が異世界へ強制的に連れていかれる話なので)が、そうでなければ最初の一冊として『図南の翼』をお勧めしたい。
この話はエピソード6にあたるが、外伝的な扱いなのでこの一冊だけで独立して読めるし、読後の爽快感が抜群だ。12歳の少女・珠晶が王になるために旅をする物語で、この世界の王がどういう存在なのかがよくわかる。
もし良いと思ったら、エピソード3の『東の海神 ⻄の滄海』を手に取ってみるのはどうだろう。『図南の翼』に出てくる意外な人物が意外なところで繋がっていて、ワクワクした気分になれるだろう。
全体で見ると泰麒の物語だと書いたが、彼についてはいずれ別の記事で独立して書きたいと思っているので、今回は紹介しないでおく。
エビソード1『月の影 影の海』とエピソード4『風の万里 黎明の空』は、同じ主人公・陽子の物語でアニメになった。私は観ていないが、アニメから入ってみるのも良いかもしれない。39話の初勅のシーンが素晴らしいと評判である。