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夜凪

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ある少年は、ある夜少女に出会う。 ろうせ初のオリジナル小説。
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#夜凪

夜凪#最終話

夜凪#最終話

ー数年後ー

「ちょっと瑠衣!!買うもの多すぎ!!」

「いいじゃん!あ、これも買いたいんだよね♪」

「どれだけ俺に持たせる気・・・」

好きなもの、嫌いなものがある人へ。

少なくとも、自分の中では好きなものを好きと、嫌いなものは嫌いだと言いましょう。

全ての人に幸あれ。
そしてここが、あなたの心安らぐ場所でありますように。

みんな、今日も生きてお疲れ様。

夜凪#11

夜凪#11

「これが俺の身に起こったことです。だから学校行きたくなくて、それにちょっと男子も苦手になりました。男の俺が言うのもなんですけど」

「・・・うぅん。君が言ってくれたように、嫌いなものも嫌いと言っていい」

「!!」

好きなものは好きと言っていいと言ったように、嫌いなものも嫌いと言っていい───?

「というか、ボクといて大丈夫なの?男だけど・・・」

「聞いた時は驚きましたけど、別に男子が嫌い、

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夜凪#10

夜凪#10

※センシティブ注意

ー夏の終わりー

夏ももう終盤に差し掛かる頃。
学校は二学期を迎えていた。

「・・・?」

始業式、久しぶりに学校に行くと、なんだかいつもと雰囲気が違う気がした。

問題の事件が起きたのは放課後。

(早く着替えてクラブ行こう)

先生に呼ばれてしまい、着替えるのが遅くなってしまった。
教室には誰もいない。
体操服が入っているカバンを開ける。

「・・・は?」

いつもと違

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夜凪#9

夜凪#9

俺は、屑なやつだ。
何もできない、そして、最低なやつ。

『お前、もっとできねぇのかよ』

あの時の声が蘇る。

「俺は───っ、」

言葉に詰まる。
なんで思ったように言葉が出ないんだよ、こんな時に。

「話してくれとは言ったけど、無理はしなくていい。話せるようになったら話して欲しい」

「・・・だい、じょうぶです。今話します」

これ以上瑠衣に迷惑をかける訳にもいかない。

俺は夏が嫌いだ。

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夜凪#8

夜凪#8

「ボクの親はさ、ボクに当たってくるしタバコしてるし結構やばいんだよね。最近特に当たり強くてここに来れなかった。でもこれでも、父親がいないから唯一の親なんだ」

そう言って哀しく笑う。

「それに、母さんがボクに当たってくるようになったのはボクが原因だし、自業自得なんだよね」

ボクは可愛いものが好きだ。

でも、それは女の子がする話。
男の子のボクが可愛いものを欲しがるのを、母は嫌がった。
だから

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夜凪#7

夜凪#7

「お、来たね」

学校で瑠衣と出会った夜。
やっぱり行こうと思って海に向かった。

「来ると思ってたよ」

「俺も、なんとなく今日は来るかなって思ってました」

クラスメイトだと思うと、なんだか恥ずかしい。

「なんで数日間来なかったんですか?」

「・・・」

途端、瑠衣の顔が、真っ暗な闇を含んだ表情に変わる。

「あ、無理に言わなくていいので・・・」

「あぁ、いやいいんだよ。じゃあさ、凪くん

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夜凪#6

夜凪#6

うるさいなぁ。
もう全部吸い込まれればいいのに───。

「・・・」

誰もいない部屋の中。

『学校には行くんだよ〜』

言ったからには、行かないと。

「あ"ぁ〜やだな〜」

そう言いながら瑠衣はスカートを取った。

「・・・え」

まさか隣の席の子が少年だとは思わなかった。
意外な出会いがあるもんだ。

「もういいや!!改めましてよろしく、"日向凪"くん」

そう言うと、戸惑ったように凪は返

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夜凪#5

夜凪#5

「いや〜まさか同じ学校でしかも同じクラスだとは思わなかったなぁ」

「俺もです」

帰り道。
俺は海、いや瑠衣と一緒に帰っていた。

「あ、そうだ」

「?」

瑠衣の鞄の中から出てきたのは、

「これ面白かったよ」

この前凪が貸した本だった。

「あ、ありがとうございます」

「‪‪‪w‪w‪w あのさ、同級生ってわかったことだし、タメでいいよ?w」

「いや、なんか、抜けないしこれでいいです

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夜凪#4

夜凪#4

5限終わりのチャイムが鳴る。

「トイレ行こうぜ〜」

「ちょっと飲み物買ってくる!」

各々に過ごす休み時間。

することもなく外を眺めていると、教室のドアが開いた。
そいつは俺の方へとやってくる。
何かと視線を向けると、

「・・・は?」

学生服を着た海がいた。
あちらも驚いたようにこっちを見ている。

「え、え?」

「あ、あの、どうしてここに」

「それはこっちのセリフ」

まさか。

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夜凪#3

夜凪#3

「・・・」

今日も可能性を信じて海に来るが、彼女の姿はない。

「どうしたんだろう・・・」

また、会おうと言ったのに。

「仕事行ってくるね!」

「行ってらっしゃい・・・」

いつものように母が声をかけ、家を出て行く。

『学校には行くんだよ〜』

「っ・・・」

行きたくない、けど。

「今日くらい行こう」

ーお昼休みー

「お、」

クラスに入ると、びっくりした目で見られた。
そりゃそ

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夜凪#2

夜凪#2

今日も足は海へと向かう。

「お、来たな少年」

黒髪の少女、"海"と出会ってからはほぼ毎日のように夜、この海に来ている。

ちなみに海という名前は、自分で言っていた。

『うーん、まぁ仮に"海"とでも呼んでよ』と。

「また君は名前教えてくれないのかい?」

「教える気ないので、なんとなく」

「あっそ〜」

そう言って海は寝転ぶ。

「頭道路飛び出してますけど・・・」

「この時間は誰もいない

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夜凪#1

夜凪#1

夏のある夜、月が綺麗だった日。
俺はあなたと出会った───。

「はぁ・・・」

先生から模試の結果が返される。

「×××、お前このままいくと留年だぞ?ちゃんと勉強しとけよ?」

「わかってます」

俺は高校に通うごく普通の生徒。
少し変わったところと言えば───、

「失礼しました」

「あ、あいつって・・・」

「あぁ噂になってる奴だろ?」

不登校で、こういった時くらいしか学校に来ないこと

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