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活躍しない

テレビ番組などで吹奏楽部がコンクール出場を目指して頑張っている部員の姿が放映されたりすると、羨ましく思うことがあります。
皆で協働して目標を達成する充実感は、きっと素晴らしいに違いありません。
残念なことに我が部活はそこまでのレベルではなかったし、私は私で、合奏に混じっているのか何だか分からない状態で、たまに音を外した時だけ存在が認識できる子でした。

そんな到底活躍できない自分であることが心苦しく、ある日、ひとつ上のサノ先輩にそう伝えたことがありました。
そうしたところサノ先輩は、今でも私の心に残る言葉をおっしゃられたのです。

「バカだねぇ。

活躍するのは肛門だけで充分なんだよ。

(↑括約筋に掛けた)
人間は一瞬だって輝かなくていい。
考えてもみろ。マラソン大会で目立とうとして、スタート直後だけ全力疾走するやつのことを。そんな陳腐な感情に支配されて残り42.095kmを棒に振るやつの生き様は、俺は尊敬できないね。」

それを聞いて私はハッと思いました。
活躍したい、目立ちたい、というのは私の邪な考えだったのです。
技術というのは一朝一夕に修得できるものではありません。毎日コツコツと同じ練習を繰り返すことで身体に染み込ませていく。そんなところに輝きもへったくれもない。
その作業に何年かかっても、長期間継続できる精神を養うことが人生において有用なのです。
そこに一時の輝きを求めることは健全ではありません。そんなことを考える暇があったら、鼻くそでもほじっていた方がよろしい。

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