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薬草デビュー48 タンポポ② 生薬名 蒲公英 味 苦、甘、 性質 寒 帰経 肝、胃 

食べてばかりのタンポポ。薬草ではあるけれど野菜として、サラダ、お浸し、天ぷら、きんぴらのタンポポでした。

薬草デビューでしっかりタンポポをお勉強します。

とってもわかりやすく詳しい、タンポポ効能を薬剤師・国際中医師の中垣亜希子先生が解説しています。

ちょうど五臓の肝を勉強したので、腑に落ちるタンポポの解説でした。
中医の観点からのタンポポ!勉強になりましたので割愛しながらシェアします。

薬読より薬剤師・国際中医師の中垣亜希子先生

乳腺炎や化膿、炎症などのトラブルの味方! 「タンポポ(蒲公英・ホコウエイ)」の効能

ありふれた雑草でも、秘めたる効能を持っているものがいくつかあり、タンポポもそのひとつ。たんぽぽコーヒーに使われる「タンポポ」は、漢方の本場・中国で行われる伝統医療=中医学(中国伝統医療)ではれっきとしたクスリ(中薬)として扱われていて、色々な炎症や化膿に使われます。タンポポの中医学的な効能や、状態による向き不向きなどを解説します。

薬読さんより

1番身近な野草タンポポ
タンポポは茎をとっても根が残っていればまた伸びてくるほど、生命力の強い植物です。タンポポを使った飲食物として一般的に知られているのは「たんぽぽコーヒー」でしょう。味はコーヒーに近く、「コーヒーと麦茶の間」とか、「土っぽさのあるコーヒー」といった感想を見かけます。
中薬では、タンポポのことを、「蒲公英(ホコウエイ)」と呼びます。中医学では花、葉、茎、根など植物全体(=全草)を薬に用いるのが本来ですが、日本では根だけを乾燥させたものを「蒲公英」とか「蒲公英根(ホコウエイコン)」として取り扱うことが多いようです。

薬読さんより
写真は薬読さんよりお借りしました

蒲公英(ホコウエイ)のはたらき
蒲公英(=タンポポ)は中薬学の教科書において「清熱薬(せいねつやく)」に分類されています。
解毒・消炎・抗菌・抗真菌・利水などの作用があります。 清熱薬はさらに以下の5つに分類され、蒲公英は「清熱解毒薬」のうちのひとつです。
ちなみにウィルス性の感染症対策に活用される「板藍根(ばんらんこん)」や、細菌性の下痢や皮膚トラブルに使われる「五行草(スベリヒユ)」も清熱解毒薬です。
・清熱瀉火薬(せいねつしゃかやく)
・清熱燥湿薬(せいねつそうしつやく)
・清熱涼血薬(せいねつりょうけつやく)
・清熱解毒薬(せいねつげどくやく
・清虚熱薬(せいきょねつやく)

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3.蒲公英はどんな時に用いられるのか(使用例)
1) 化膿があるトラブル①「乳腺炎」に 蒲公英の代表的な使用例の1つ目は、乳腺炎です。乳腺炎の初期のしこり・腫れ・熱感・赤みに対して、単品で、あるいは他の解毒作用がある生薬と用います。たんぽぽコーヒーは、タンポポの根を焙煎したものなので、単にタンポポの根を乾燥させたものより、冷ます作用は減少していると考えられます。

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画像は薬読さんよりお借りしました

また、乳腺炎初期の女性が、助産師さんからゴボウの種である牛蒡子(ごぼうし)を毎日食べるようにアドバイスされて、漢方薬局に来局なさることがあります。牛蒡子だけでは効きがイマイチなとき、炎症が強いときは、蒲公英など他の清熱解毒薬も一緒に使うと良いでしょう。 さらに言えば、蒲公英にしても牛蒡子にしても、ただ炎症や化膿を抑えるだけです。
漢方薬局に相談にいらっしゃる日本女性の中には、乳汁が詰まりやすい体質的な原因が大元にある方が多いようです。 例えば、乳汁の色や質が薄く、量も少ないケースでは、乳汁が少ないために乳汁の流れが悪くなって、乳腺が詰まりやすかったりします。その場合は、ただ蒲公英や牛蒡子で清熱解毒するだけでなく、母乳の原料である「血(けつ)」をしっかり補うことが大切です。このケースは、血の不足・腎精の不足などを中心とした色々な不足がありますので、これらの不足を補いつつ、清熱解毒薬していくのが基本的な治し方です。
特に産後の女性は、妊娠・出産によって全身の気・血・陰・陽・精を使い果たしたうえ、母乳の材料はまさに血ですから、「血」の不足=血虚が顕著になりがちです。 さらに、精神的に浮き沈みしやすい、イライラする、落ち込む、涙が止まらない、産後の悪露が残留する…などの症候があるときは、気血の巡りが悪くなっています。 気の巡りが悪い状態である「気滞(きたい)」や、血流が悪い「瘀血(おけつ)」の症候があるケースでは、気を巡らせる「理気薬(りきやく)」や血行を良くする「活血薬(かっけつやく)」などを、清熱解毒薬と一緒に用います。 また、乳汁の質が濃くて粘っこいがために乳腺が詰まりやすいケースでは、体質的に「湿熱(しつねつ)」を持っている可能性もありますので、湿熱をとりのぞく漢方を合わせて用います。 金銀花・野菊花・蒲公英などが含まれる「五味消毒飲(ごみしょうどくいん)」という処方は苦寒薬だけでなく甘寒薬も配合されており、なおかつ、お花系の生薬で配合されているため上体部に効きやすい傾向

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(2) 化膿があるトラブル
②皮膚化膿症・肺化膿症など
蒲公英には、抗菌作用・抗真菌作用があり、黄色ブドウ球菌や皮膚真菌を抑制する作用が確認されています(『漢薬の臨床応用』より)。中国ではニキビ・ふきでもの・アトピー性皮膚炎などの各種皮膚病(皮膚の炎症・化膿がある状態)にも蒲公英を用います。代表的な処方は前項で述べた「五味消毒飲」などです。蛇や虫に咬まれた傷にも、蒲公英をつぶしたものを外用することもできます。

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蒲公英を含んだ生薬の煎じ汁やエキス顆粒剤は、内服するほかに、水で溶かして湿布としても使います。他の清熱解毒作用を持つ生薬と組み合わせると効果がよりアップします。たとえば、アトピー性皮膚炎・湿疹・ニキビなどの赤み・痒み・膿・腫れ・痛みなどの皮膚病に、赤ちゃんから大人まで、他の漢方薬とあわせて内服・外用ともに非常によく用いられます。

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蒲公英は肝に帰経するため、肝経絡の炎症・化膿や、特に、肝鬱(かんうつ)による炎症に適しています。
我慢や緊張の多い毎日を送っていると、自律神経系や精神情緒系をつかさどり全身の気の巡りを調節している肝の気(=肝気)の巡りが悪くなり、肝気が鬱結(うっけつ)します。
これは「肝気鬱結(かんきうっけつ)」という状態で、我々は略して「肝鬱(かんうつ)」と呼びます。
💡🤔ストレスかな?

「気」は “身体を温めるエネルギー”です。
特に、肝気のパワーはとても強いため、肝鬱が長引いたり強かったりすると暴発(=肝鬱化火(かんうつかか))します。
「気が詰まり過ぎて熱に化す」といったイメージです。
肝にこもった熱のことを「肝火(かんか)」とか「肝熱(かんねつ)」とかいいます。要するにメンタルの炎です。
蒲公英はこういった肝に熱がこもった状態に向いているため、精神的なストレスが関係する乳腺のトラブル・眼の炎症・充血・眼が脹るなどのトラブル・皮膚病・その他の様々なトラブルに対して、体質に合わせて他の生薬と組み合わせて用いられます。
そのほか、肝火が原因の炎症や症状に応用されます。 また、肺化膿症で、膿または膿血性の痰・咳・胸の痛みなどがある状態に、他の中薬(生薬)と組み合わせて用います。

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3) 尿路感染症や黄疸に 尿路感染症の排尿困難や排尿痛に、ほかの中薬と組み合わせて用います。
また、湿熱タイプの黄疸の際に、蒲公英を茵蔯蒿(いんちんこう)・山梔子(さんしし)・柴胡(さいこ)・板藍根(ばんらんこん)などと共に用います。

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4) 目の充血・炎症に
先述したような「肝火」による目の充血・腫脹・痛みなどに、蒲公英単味で、あるいは、黄芩(おうごん)・野菊花(のぎくか)・夏枯草(かごそう)などとともに用います。例えば、急性結膜炎・眼瞼炎などです。

薬読さんより

全身の不調の相談で、漢方専門薬局に相談にこられる方のなかには、ストレス・過労・睡眠不足などが原因で霰粒腫(まぶたの中にできた小さな固い腫瘤。「ものもらい[麦粒腫]」と似て非なるもの)が炎症・化膿している人もいます。 そのような場合には、全身の不調も視野に入れた漢方薬と共に、蒲公英を含むエキスを組み合わせて用いるとよい結果が得られることが経験的に多いです(あくまでも私の経験です)。

薬読さんより

蒲公英(ホコウエイ)
【分類】 清熱解毒薬
【処方用名】 蒲公英・公英・黄花地丁・婆婆丁
【基原】 キク科Compositaeのモウコタンポポ、根をつけた全草。 日本では、根のみを乾燥したものを蒲公英根と称し、これが流通している
【性味】 苦・甘、寒
【帰経】 肝・胃 【効能】
(1) 清熱解毒(せいねつ・げどく)・消腫散結(しょうしゅさんけつ)。 乳廱・腸廱・庁毒・廱腫・肺廱などの化膿性疾患などに用いる。
(2) 利水通淋(りすい・つうりん)・清利湿熱(せいり・しつねつ) 熱淋(ねつりん)の排尿困難・排尿痛に、黄柏・車前子・茅根などと用いる。 
(3) 清肝明目(せいかんめいもく) 肝火上炎による目の充血・腫脹・疼痛(急性結膜炎・眼瞼炎など)に
【用量】 6~30g。大量で60g。煎服。
【使用上の注意】 実熱火毒にのみ用いる。過量に使用すると下痢をきたすことがある。 ※『中医臨床のための中医学』(医歯薬出版株式会社)より部分的に抜粋
このように、蒲公英は、さまざまな炎症や化膿に用いられます。特に、乳腺炎・皮膚病・眼の充血や炎症・ストレスが関係する炎症などが得意分野です。 

薬読さんより

5蒲公英の注意点と蒲公英を含むエキス顆粒剤
蒲公英は清熱解毒薬なので、実熱があるときに用います。身体を強く冷やすので、冷え性の方、特に冷えてお腹が痛い・冷えて下痢をするタイプの人には、実熱があったとしても単品では用いません。また、蒲公英は量が多すぎると下痢をします。蒲公英を飲んで下痢をした場合は、冷やし過ぎている可能性もあります。

薬読さんより

もともと脾胃虚弱(ひいきょじゃく≒消化器系が弱い)で、慢性的にお腹が弱く軟便傾向にある人の、胃もたれ・胃痛・食欲不振・泥状便~下痢等の症状があるときは、蒲公英のような強く冷やす薬の使用は特に注意しましょう。

薬読さんより

蒲公英は中国では薬ですが、日本では法律的に食品扱いです。日本の漢方薬局では、蒲公英の根を乾燥させて細かく刻んだ状態のもの(煎じてお茶として飲む※)が入手できます。

薬読さんより

五臓の肝熱を冷ます。
疲れすぎたときモノモライできたりしますね。
タンポポ!すごいですね!
簡単なのはタンポポを食べることなのかも。
タンポポ根っこ掘りはなかなかハード。


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