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大人も楽しいよ!と高校のころの自分に言いたい

高校生のころ、大人たちに「高校生はいいなあ」「今のうちに遊んでおきなよ」「社会人になってからだと本当の友達はできないよ、高校のころの友達は大事だよ」と言われるのが大嫌いだった。ついでに、実はジブリの「耳をすませば」も苦手だった。あの、「15歳の夏は一度きり」みたいな雰囲気。私は一度きりの15歳だか16歳の夏を、部活と、宿題と、あとは家で毎日焼きそば食べてだらだらして過ごした。

高校生活はそれなりに楽しかったけど、勉強や部活に忙しかったし、遊ぶといっても未成年だし親と一緒に暮らしてるし、なんでもできるわけじゃない。友達もいたけど、クラス内の力関係に気を使ったり、いいことばかりではなかった。なのに、このあとはもっとつまらなくなるの?今、この状態が人生のピークなの?と、ぼんやりと絶望していた。

でもあるとき、なんの話の流れだったか、授業中に教科担当の先生が言った。
「大学は楽しいよ、自由だし、同じようなことに興味ある人が集まるから、気が合う人いっぱいいるよ」

そして実際そうだった。制服を着なくていいし、授業も自分で選べるし、お昼ごはんも親の弁当ではなく、外食してもコンビニで買ってもいい。高校のころの友達も大事だけれど、大学でも友達はできたし、夜遅くまでカラオケに行ったり、一人暮らしの友達の家で夜が明けるまで飲んだり、高校とは違うことがいっぱいできた。就職してからも、自分でいろいろ調べて勉強するのは大変だったけど楽しかったし、同期の仲間ができて仕事のことを熱く語るのも好きだった。大学のころみたいに長期の休みは難しいけれど、お金を稼げるようになったので、少しリッチなホテルに泊まってみたりもした。ステージが変わるごとに、新鮮な体験がいろいろあった。

私は、高校生のころ言われた言葉たちは、悪気はなくても呪いだったと思う。それを、教科担当の先生が解いてくれた。高校生だった自分、今高校生の子たちにはっきりと言いたい。「大学に行ったり、就職したりしても楽しいよ!」「15歳の夏は一度きりだけど、26歳の夏も、31歳の夏も一度きりで、別に15歳の夏だけが特別なわけじゃないよ!15歳の夏がなんとなく過ぎちゃっても、大丈夫だよ!」「今楽しくなくても、大人になったら自由に楽しめることがたくさんあるよ!」と。

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