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教育)スウェーデンの教育

前回は、フィンランドの教育について紹介し、それを基に教育や教育に関わることに関することの今後について考えてみました。
そして、今回は、同じ北欧のスウェーデンの教育から教育を考えていこうと思います。前回も書きましたが、スウェーデンは、世界幸福度ランキング2021年6位、これまでのPISA調査では高順位で、直近の2018年調査では日本が読解15位だったのに対して、11位となっています。そして、なんといってもスウェーデンは投票率が85,8%(日本52,7%)と高く、30歳未満の投票率は日本32,6%に対して、81,3%と若者の政治・社会参加が進んでいる国と言えます。

幸福度や学力もとても高いですが、政治・社会参画が進んでいる点はとてもすごいと思います。なぜこのようになっているのか、見てみましょう!

スウェーデンの社会科

ヨーラン・スバネリッド [著] ; 鈴木賢志, 明治大学国際日本学部鈴木ゼミ編訳
「スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む : 日本の大学生は何を感じたのか」(新評論) 2016.12

(今回は、上の本を参考にしました。スウェーデンの小学校の授業、とりわけ社会科について書かれた本ですが、日本と違うスウェーデンの教育の秘密に多く気づける本だと思います!特に、政治・社会参画については良く知れる書物になっていると思います)

上の本の目次では、スウェーデンより日本の方が「政治に関心がある」と回答した人は多いが、「私個人の力では政府の決定に影響を与えられないと思うか?」に対しては、「そう思う」が日本では過半数だが、スウェーデンは「そう思わない」が半数以上になっていることが紹介されています。ここからも、スウェーデンと日本の違いが読み取れますね。政治への興味・関心は弱くても、自分たちで社会を変えたり、政治に関わることができると意識できている点、すごいです。私の勝手な感覚かもしれませんが、日本の教育ではよく子供たちの政治への関心を上げることが目標になったり、ニュースでも「若者の政治への関心が下がっている」等、関心について目が行きがちだと思います。もちろんそれも大事ですが、それより自分たちで社会・政治を変えれると考えることができること、また政治・社会に疑問を持った時、具体的に行動できる力を持っていることもとても大事だと思います。若者に関わらず、政治には影響を与えられない・自分の力では何もできないと考える人が、日本ではとても増えていると思います(自分も、そう感じる時があります)が、本当に何もできないのでしょうか?

スウェーデンの社会科の驚くところ1

(その前に、スウェーデンの社会科と言うのは、公民、現社、政経+道徳のようなもので、歴史、地理は独立して設けられているそうです。小学校なのに!!ここも違いますね。社会科って何を育てるための教科なのでしょうか、歴史と地理と公民で育むものって一緒なのでしょうか?考えさせられますね。)

この本を読んで驚いた部分は本当にたくさんありますが、まず驚いたのは「暗記がメインではないこと」です。スウェーデンの社会科は、覚えるというより考えるつくりになっており、訳者さんが総括で書いていますが、社会科の公民分野といえば、国会の議員数や、憲法・法律の公布日・内容を暗記すること、そして「法律や規則は守るべき」ということに異論を唱えることなく、それを暗記することを求められます。しかし、議員数や法律の公布日を覚えたからといってそれは何に繋がるのでしょう、投票をして政治参加をしようということには繋がらないのではないでしょうか?また、スウェーデンでは、「法律や規則は変わる」と教わり、今ある決まりでも見直すことが大事だとされます。現代の政治・社会には、明確な答えが存在しない問題が多く存在します、その中では答えを暗記する教育ではなく、固定観念を見直し、より良い答えを皆と考えていくことが必要だと思います。(現在は、日本でも暗記→考える教育が重要視されています。しかし、中学や高校、大学の入試では、知識を問われるため、教師側も暗記をやはり無くすということはできません。考えるためには、知識が必要ですから暗記も必要だとは思いますが、暗記と考えることの比重のバランスが大事だと思います。)

スウェーデンの社会科 驚くところ2

「今日では、誰でもニュースを流すことができます」

これは、第2章「メディア」にある言葉です。私もそうでしたが、普通多くの人は「TwitterやFacebook」などのメディアを情報収集のための受け身的なものとして捉えます。しかし、スウェーデンの社会科では、これらを発信するという、能動的なものとしてみており、自分から伝えたいこと・疑問に思うことなどを発信できるよということを伝えています。これを見た時とても驚きました。学生の頃、何か社会に疑問を思っても、どうしたらいいかわからなかったし、政治のこと等を周囲に話しても、変に見られてしまうことが多く、発信することはだめだと思っていました。しかし、スウェーデンの社会科では、政治や社会に関心を持つことは良いことで、それを自分で発信していいと教えられるのは、日本と違い少しうらやましく、このような教育があるから、自分で政治に参加しようと思ったり、行動できる人が多いのだろうな、と思いました。

また、この章では、自分から発信するポイント(地方の新聞に投書、Facebookでグループを作る、政治家に連絡を取る等)や、「民主制におけるメディアと」「独裁制におけるメディア」の比較、メディアを使うときの注意点(「書き込む前にしっかり考えましょう」「あとから取り消すのは難しい。また、はっきり表現しないと誤解されることもある」等を教えることが書かれています。「自分で発信できますよ」と伝えた後に、しっかりその注意点や、具体的な方法を教わることで、より行動に移しやすくなると思うので、とてもすごいと個人的に思いました。日本は、よくSNSの悪い部分を強調して大人が使わせないようにしたり、子供が木を登ろうとした時、危ないと思って大人が登らせない等、やらせる前に大人が禁止してしまうことが多いと思います。しかし、スウェーデンでは、危険性や注意点をしっかり教えつつ、禁止するのではなく、その対処法や具体的な方法を教えます。筆者の方は、「メディアを禁止するだけでは、正しい使い方、危険性は学べない」と述べています。禁止しても、子供たちはSNSなどをよく使います。それなら、禁止する前に、しっかりその危険性や危険な目に合った時の対処法を教え、しっかり自分で行動・対処する力を養わせておくことが、必要ではないかなと思います。

まとめ

本当は、あと4章くらいあり、驚く内容もたくさんあるのですが、今日はここまでにしたいと思います。前回の投稿から、少し日が空きましたが、これからも1週間に1回くらいのペースで書ければいいなと思います。

問「誰が最も権力を持っている?(王様?アイドル?大企業?、、)
問「半分以上の人が投票しない選挙、民主制ってどうなのだろう?」

今回の書物には、上のような面白いというか、考えたことのない問が多くありました。やはり、固定観念を取り払えば、色んな疑問・問が生まれてくると思うので、大切にしたいですね。

最後に
「There's more (to ~) than meets the eyes.」
(~には)見かけ以上のものがある(引用:モアナと伝説の海より)
初対面では、見かけや外見が大事になると思います。しかし、見かけや外見はその人の一部分にすぎません。その人には、色んな面があると思います。友達、親など、その人を多面的に見つめられるといいのかなと思います。




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