白夜行/東野圭吾
本屋で見かける度に思っていた。
「分厚すぎるだろ!」
読書が好きって言ってるくせに東野圭吾の作品をちゃんと読んだ事ないというのは
なんだか恥ずかしいなと思っていながらも分厚過ぎて読み切る自信が無かったのでなかなか手が出せずにいたのがこの本。
そう思っていたのに、こうして読み終えられたのは人におすすめされたから。
最近は本を読んでいる人に出会ってはおすすめの本を聞き、
おすすめしてもらった本は積極的に読むようになった。
これを勧めてくれた人は「白夜行はね、ほぼ官能小説だよ(笑)」と言った。
おお、意外と官能小説系なのか…
なら読めそうかもな、と安易な考えで読み始めてみたのだが、
読み終わった今、勧めてくれた人に言いたい
「おい、どこが官能小説だよ!めちゃ悲しい話やないか!」
とは言え、感じ方は人それぞれだし、確かにそういった描写は多々あったのでまぁ良しとしよう。
にしてもこれを官能小説と表現する感性が羨ましい。
雪穂は小さい時のあの忌まわしい経験がなくて、ただただ幸せに暮らせていたらここまで頭が良すぎる人間にならずに済んだのかな。
自分の武器を理解し過ぎていて、それを最大限に活かし過ぎている。
同じ女性としてその能力が羨ましいと思う気持ちは正直0ではない。
私にもその能力が少しでもあれば世渡り上手な女としてすり抜けられた瞬間があったのかもしれない。
だけど、雪穂はそうしないと生きていけなかったんだろう。
自分の武器を最大限に使うしか、自分を保ちながら生きていく方法がなかったのだろうと思う。
悲しいような、怖いような、言い表せない感情になる。
今回、私が折っていたページに書いてあったのは
「いったん与えられたものを奪われるということは、元々それがなかった頃に戻ることではない。」
与えられたものが幸せな感情でも負の感情でも
これは同じ事が言えると思う。
誰かと一緒に居て幸せ、楽しい、面白い。
他の事がどうでも良くなるくらいにこの感情にのめり込んでしまうと、失った時には元々の生き方を忘れてしまう。
それも成長の為の一つだと思う。
だけど、元々与えられるはずだったものが与えられないのとは違う。
一般的な考えだと家族は生まれたそばから元々あるもの。
ある意味切っても切れない。
だからこそ雪穂も亮司も必要以上の成長を遂げてしまったのではないか。
私なんかは馳星周の解説を読んでから気づいた。
そう言えば2人の内側は何も書いてない…。
その時にやっと鳥肌が立った。
どこか違和感を感じていたのはそこだったかー。
それなのにこんなにも物語がまとまっていてたくさんの伏線が回収されている事に驚いた。
しかもこんな分厚くして。
この本を読み終わる前にふらっと寄った本屋で買った本が本当にたまたま馳星周の「少年と犬」。
白夜行の解説が馳星周だったのでこれも何かの縁なのかと思う。
本を読むことを辞めないで、と本の神様に言われてるような気がした。
が、私は気分屋なのでとりあえず今はもう全く違う本を読み始めている。
また感想を書こうと思う。
noteって自由に書けるから良いね。
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