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キネマの神様/原田マハ


映画館で映画を見ていると、スクリーンから目を背けたくなって、その場にいるのが怖くなる時がある。

家でDVDを見ていると一時停止が出来るし、携帯なんかで見ていたら消す事もできる。

でも映画館ではそうはいかない。暗い中、映画に夢中の人たちの前をすみません、すみません、と頭を下げながら出ていかない限りは向き合うしかない。目だけは逸らせたとしても音は聞こえてくる、話は進んでいく。

ここ最近の私は映画館で映画を見ることを修行だと思っている。
閉ざされた空間で映画だけと向き合うこと。
特に暗いシーンは無意識に目を背けている。
でも、逃げた事は一度もない。どんなジャンルの映画だろうが見終わった後は映画のことで頭がいっぱいになる。
それは本と同じで、そこに幸せを感じると分かっているから、逃げはしない。

本と映画の違いは、自分のペースで進められるかどうか、だと思う。
読み進んでいって辛くなれば、いつでも本を閉じることができる。
だから私は本が好きなんだ、と最近気づいた。

今、キネマの神様を本で読んだはずなのに、映画を一本見たような重さを感じている。
それくらい、映画にも本と同じくらい、それ以上に力がある。
本に出てきた映画は知らないものが多くて、この本を持ちながら映画館に観に行きたくなった。
この本は映画を見る時のお守りになってくれる気がする。


誰かと近くにいればいるほど、その人の事を案じてしまう。
でも本人は周りが思っているより強かったりする。本当に好きなことを見つけた人間は強い。
ギャンブルで得られる快感は一瞬で、でもそこから抜け出すには長い時間がかかるんだろう、と読んでいて教わった。

本が好きな友達が周りにいないというのもあるし、1人で頭の中を整理したいからこうやって本を読む度に、感想を書いているけど、いつかゴウとローズ・バットみたいに、好きなことだけで繋がって忖度のない言い合いができる人と出会ってみたい。

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