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「BSテレ東 『男はつらいよ』第十三作『寅次郎恋やつれ』」

第九作二年前の夏の、吉永小百合を再度マドンナに迎えての第十三作『寅次郎恋やつれ』。

父親の反対を押し切って島根で焼き物を作る男のもとへ嫁いでいった歌子(吉永小百合)。
しかし、たまたま訪れた津和野で寅と再会した歌子は悲しい様子、わけを聞けば昨年夫に突然先立たれたということだった。
後ろ髪を引かれる思いで別れを告げる寅と歌子のバス停でのシーン、これが恋やつれの正体だった。

名場面1

とらやに訪れた歌子を囲んでとらやの面々の愉しい会話が続く中、寅さんは恋やつれ疲れで少し寝入ってしまうが眠けまなこで会話にに入っていつものジョークを連発すると、歌子が我慢しきれずに笑い転げる、、、、
このときの寅さんの歌子を優しく見つめる目に泪が、、、、

このときの寅さんの気持は、わかりすぎるほどわかる、愛する女性を守ってあげたいという感情移入の美しさは、今十三作で確固たる名場面になったのではないかと思います。

名場面2

常識のない寅さんが、歌子と仲違いになっている、いい大人の父親に会いに行き、本音をぶつけることで父親のまごころに気持ちが届く、そして宮口精二演じる歌子の父親がとらやを訪れ、歌子に不器用に気持ちを伝える、、、、

泣かずにおられない場面で、おいちゃん、おばちゃん、さくら、寅さん、父と娘もみな泣いているけれど、観客も皆すすり泣いています!!

寅さんは歌子の仕合せを見届けて旅に出る

この、仕合せを見届けて旅に出る寅さん、という設定もいつものパターンながら十三作で際立っています。

吉永小百合マドンナの前作第九作とは異なる切なさの、寅さんです。
ああー、でもまったく同じように、『男はつらいよ』であります。


追伸

白地に黒の水玉のワンピース

この作品中、歌子が東京で職探しに出るのですが、そのときの服装がなんと、「白地に黒の水玉のワンピース」でした。

この、白地に黒の水玉のワンピースと言えば、第五作望郷編で、豆腐屋のせっちゃんこと長山藍子が寅さんに「ずっと豆腐屋で働いてくれるの?」というこれ以上はない残酷なセリフを言う場面で着ています。
五作もこの十三作も半袖のワンピースです。

私の胸に永遠に消えないワンピースは七分袖ですが、
半袖と言えども、このうように2回も、水玉のワンピースが出て来るとは、、、、、


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