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「BSテレ東 『男はつらいよ』第二十六作『寅次郎かもめ歌』」/伊藤蘭、良かった!複雑な設定の中、貫くまごころが優しい!

「寅次郎かもめ歌」

この作品は昭和55(1980)年12月公開の作品です。なぜか、リアルタイムでもその後のリバイバルでも観ていませんでした。
10月に録画していたものを12月16日に妻と笑い転げながら観ました。
なぜこれまで観ていなかったのか、不思議ですが、この作品、非常に良かった、佳作です。

年の離れた父親代わり的設定は、榊原るみ以来

年の離れたマドンナとしては、榊原るみ以来の設定になるのかもしれません。
この手の設定は、結構むずかしめだと思うのですが、さすがに見入らせる演出と演技、出演者とスタッフの賜物です。
伊藤蘭は当時、キャンディーズを引退して2年くらいでしょうか、可愛いから綺麗に変わりつつある年頃でとてもチャーミングです。
その伊藤蘭を、寅のやくざな友だちの遺児として奥尻島に一人暮らす娘として設定、勉強をしたくて働きながら定時制高校に通いたいというけなげな娘を演じさせています。
しかし、話が進むにつれ、なかなかリアルに、函館で働いていたことが有り、愛し合った彼氏もいたということがわかってきます。

奥尻から柴又へ、そして定時制高校合格

奥尻から柴又にすみれ(伊藤蘭)を連れてきた寅を指名手配の誘拐犯と見紛う警官米倉斉加年、例によってのドタバタでも寅の疑いは晴れないが、すみれ伊藤蘭の「どうして寅さんを、こんないい人を疑うの?謝って!」
ここは名場面です。
伊藤蘭、完全に観客を味方につけました。
そしてこの場面でこの作品の成功が決まりました、素晴らしい!

行きたいという定時制高校の編入願書を入手し、一週間後の入学試験のための勉強を開始、でもなかなか進みません。寅は手伝おうとするけれど、全く役に立たない。自信は持てず入試の日がやってくる。
すみれに連れ添って、寅が一緒に定時制高校へ、途中、すみれが弱気を出し行きたくないと言う。
寅はこういうときにきちっと寅らしい叱咤をする、渥美さんの名演技でした。
そして、試験、、、、、
でも思うようにできなかった、口頭試問があんな形であるのか知らないけれど3人の教師が取り囲んでの質問攻め、すみれは何も答えられない、、、
とらやで落ち込むすみれと寅。
でも、、、、、

合格が発表され、配布された教科書と書類をもって、とらやに駆け込むすみれ、嬉しさいっぱい、河原にいる寅に報告に、、、、
手を取り合って河原で喜び、すみれは寅に抱きつく、、、
ここも名場面です。

函館の彼氏との再会、そして

年の離れた若いすみれには、函館に恋人がいた、
再会したすみれが、朝帰りをしてそのことを寅に咎められ、
「私、結婚するの」と、、、、
寅は怒って旅に出ようとするが、
玄関まで来たところで、すみれが抱きつくが、寅は、
「おめえ、仕合せになれるんだろうな」
「うん」
「かならず仕合せになるんだぞ、いいか」と、、、

いつもの練れた演出、レギュラー陣の名人芸と伊藤蘭の好演がこの作品を佳作に仕上げています。
年の離れた娘への恋と親心の入り混じった、難しい感情のやり取りをここまで観客を引き込んで離さずぴったりと作品に入れ込ませる、さすがの寅さん第二十六作でした。

寅さんに関する記事は以下にまとめてわかるようにしています。ご興味ある方は是非ご覧ください。


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